
2006年4月にリリースされた新譜、エミルー・ハリスとマーク・ノップラーの共演盤『
All the Roadrunning』がすごく気になってるんです。
まだ買ってないけど、これは聴いてみたいなって思ってます。エミルー・ハリスは僕は大好きです。マーク・ノップラー(元ダイアー・ストレイツ)は好き嫌い以前に聴いたことがないんだけど、ハンク・ウィリアムズのトリビュートアルバム『
Timeless: Hank Williams Tribute』での彼とエミリー・ハリスの共演は、文句なくアルバムのハイライトだと言えるほど素晴らしかったので、すごく気になるというわけです。
大物ゲストをかき集めて作ったアルバムみたいなものは僕はあまり好みません。それはそれで楽しいこともあるけど、アルバムとして聴いた場合しっくり来ないことが多いですね。必然があって呼ぶんならいいんですけど。でもお互い認めあったもの者同士が一枚のアルバムを作るというのは全く別物、うまくいけば本当に素晴らしいものができあがります。まだ聴いてないので何とも言えませんが、『
All the Roadrunning』はぜひ聴いてみたい一枚です。
アリス・イン・チェインズ、それは90年代にグランジ、オルタナティヴ・ロックに夢中になっていた人間にとっては忘れられない名前です。忘れてたとしても、名前を聞けばその音がありありと思い浮かんでくるような、凄い存在感のあるバンドでした。

グランジ、オルタナティヴ・ロック好きとヘヴィ・メタル、ハードロック好きというものは、お互いに相いれないというか、全く別物というか、けっこうファン層がかぶらないものなのです。しかしアリス・イン・チェインズはそのどちらからも愛される、もしくは認められるというバンドでした。音楽性にヘヴィ・メタルっぽいところがある、というよりも、基本的にはヘヴィ・メタル・バンドだったんでしょうか。シアトル出身なのでグランジ・シーンに括られちゃったのかな。まあどちらでもいいし、どちらでもないんでしょう。不思議な存在感を持つバンドです。

ジャンルで音楽を聴くわけじゃないんだけど、僕は基本的にヘヴィ・メタル、ハードロックって苦手です。ハードなロックもヘヴィな音楽も好きだけど、ヘヴィ・メタルとハード・ロックと名のつくものは苦手なんです。そんな僕がアリス・イン・チェインズを聴いていたというのは、何かしら独特のものがあったからでしょうね。最初に聴いたのは、ジャケットに吸い寄せられるように買ったサード・アルバム『
Alice in Chains』(1995)だったけど、独特の雰囲気、世界と、いくつかの気に入った曲があったんです。今でもよく覚えてるのは「Heaven Beside You」。引っ掛かる韻とメロディーを持ったこの曲がやたら好きでした。それからヴォーカルのレイン・ステイリーの声も好きでしたね。そのレイン・ステイリーの死でアリス・イン・チェインズの歴史は幕を閉じたわけですが。
そのアリス・イン・チェインズが、再結成ツアーを行うそうです。えーと、びっくり。でも、もともとソング・ライティングを含めバンドの中心はギターのジェリー・カントレルだったし、止めたくて止めたわけじゃないのでいいんじゃないでしょうか。特に興味はないですが、久々に名前を聞いて、アリス・イン・チェインズを聴いていた時のことを思い出しました。
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The Official Community of Alice In Chains
生きるということにおいて、失うということは避けられないことです。そして「喪失」についての物語、音楽は、どうしようもなく僕を惹きつけ、魅了するのです。例えばスコット・フィッツジェラルドの名作『
グレート・ギャツビー』。あまりにも悲しく、どこまでも美しい、喪失の物語。それは多くの人の、僕の、心の深い深いところまで届き、何かを残していきます。

さて、日常生活において失うとすごく悲しいものといえば、財布です。そう、つまり僕は財布を落としたのです。もちろん中に入っていたお金も痛いのですが、カードの手続きも面倒くさいですよね。手数料もかかるし。まあお金はがんばって稼げばいいのですが、その財布自体が大事なものだった場合、例えばもう今は会うことはないけど、大事な、大事だった人からの贈り物、思い出の品だった場合、すごく悲しいですよね。自分の間抜けさにちょっとだけ自己嫌悪したくなるかもしれません。もしかしたら、失うことに慣れて、さほどショックじゃなくなってることが悲しいってこともあるかもしれません。いや、ただ単によく物をなくす性質なだけなのでしょう。
こんな時に聴きたい音楽は…、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「Oh! Sweet Nuthin'」…ではちょっと甘美すぎますね。ボブ・マーリーの「No Woman No Cry」…は間違いなく違います。こういうのに名曲はダメです。佳曲ぐらいがちょうどいいですね。
よし、ここはプリンスの「Money Don't Matter 2 Night」にしましょう。この曲はもともとはアルバム『
Diamonds and Pearls』(1991)収録曲。最初に聴いた時はさほど印象に残ってなかったんだけど、2001年に唐突にリリースされたベストアルバム『
The Very Best of Prince』に、これまた唐突に収録されて「おっ、けっこういいな」て思った曲です。数々の名曲を押しのけて収録された意味は謎だけど、いい曲です。なんか違う気もするけど、今夜ぐらいは「お金なんで問題じゃないんだ」って言っていたい気分なんです。なくしたのは先週ですけどね。
エラ・フィッツジェラルドのソングブック・シリーズは、純粋な音楽の楽しみであると同時に、20世紀の大いなる遺産と言ってもいいほど価値のあるものなんじゃないかと思います。

ここでのソングブックっていうのは、一人のポピュラー・ミュージックの作曲家(ソングライター)の作品を集めてレコーディングしたアルバムのことです。多くの曲がスタンダードとして親しまれている20世紀の偉大な作曲家、例えばコール・ポーターやホーギー・カーマイクル、ジョージ・ガーシュインの音楽に興味を持ったとして、その曲のオリジナルは古くて今聴くのはしんどいのも多いし、様々にカヴァーされてるのを集めるのも大変です。その点一人のシンガーが歌うソングブックは統一感もあるし、とてもいいです。

偉大で親しまれている人ほどたくさんのソングブックが出てるので悩んじゃうかもしれないけど、エラ・フィッツジェラルドのなら安心です。言うまでもなく、彼女自身が20世紀を代表するシンガーの一人ですから。
さて、結論として何が言いたいかというと、僕は彼女の『
Sings the Duke Ellington Song Book』が欲しいけど、高いので悩んでるってことです。さらに冒頭で大げさなことを言っておきながら、僕が持ってる彼女のソングブックは『
Ella Fitzgerald Sings The Cole Porter Songbook』だけ。でもこのソングブック、かなり素敵ですよ。

Live at Blues Alley / Eva Cassidy
雨は降りそうで降らなかったけど、最後にちょっとだけは降った日曜日にぴったりのアルバムです。
なんとなく、笑顔のイギー・ポップって怖ええ、と思ってしまうのは思い込み、偏見でしょうか。

イギー・ポップの1977年のアルバム『
Lust for Life』のジャケットのことですね。デヴィット・ボウイがプロデュースしたソロ2作目、というよりも映画『
トレインスポッティング』で使われて一躍有名になった曲「Lust for Life」が収録されているアルバムということで有名でしょうか。ストゥージズ、イギー・ポップ&ザ・ストゥージズだった頃、例えば『
Raw Power』といったアルバムの方が「すげえ」と思うんだけど(本当にすごい)、今聴くなら正直こっちのほうがいいです。その理由をくだくだ書くこともきっとできるけど、そんな気分でもないんですよね。それにそんな必要もないでしょう。『
Lust for Life』だってすごいアルバムです。ただその「すごい」の意味は違いますけど。
イギー・ポップの笑顔は親しみやすい、というよりは不気味だけど(思い込み)、それでも十分このアルバムは親しみやすい、と思います。ストゥージズの頃にあったいくつかのものは失われているけど、それでもイギーポップはイギー・ポップだし、新しく得られているものがあるんです。まあ、ただ単に、僕は日本語にしてしまえば「生への渇望」といった意味を持つこのアルバムが好きだってだけですね。
プリンスがスライ&ザ・ファミリーストーンが大好きで、大きな影響を受けていることは周知の事実なんですが、DVD『
Rave Un2 the Year 2000』にはもうその大好きっぷりが一目瞭然のパフォーマンスが収録されています。

それはラリー・グラハム(ものすごい存在感)、シンシア・ロビンソン(それなりに存在感)、ジェリー・マーティーニ(存在感無し)と、スライ&ザ・ファミリーストーンのメンバーが3人も集結して演奏されるスライ・ナンバー「Everyday People」と「I Want to Take You Higher」を含むファンク・パフォーマンスです。これはいいですよ。ファンク、ダンス、そしてメイシオ・パーカーのサックスで散々煽った後、「会場が盛り上がらないんだ、これじゃ1984年の雰囲気だよ」といってラリー・グラハムに声をかけ、グラハム・セントラル・ステーションの「It's Alright」、そしてシンシア・ロビンソンとジェリー・マーティーニを呼び入れて「Everyday People」へ。

「Everyday People」の持つメッセージを十分に踏まえて、パーティー・ソングとして演奏されるこの曲、盛り上がりますよ。楽しくってしょうがないです。この一連のパフォーマンスの中心はあくまでラリー・グラハム。でもプリンスもすごく楽しそうに歌って、弾いて、踊りまくります。そして「ラリー・グラハム」「スライ&ザ・ファミリーストーン」と固有名詞連呼。よっぽど好きなんでしょうね。
これを観た人はシンシア・ロビンソンとジェリー・マティーニに存在意義はあるのかって思うかもしれない、それどころか参加していることすら忘れるかもしれないけど、演出的にOKでしょう。これがライヴ、そして映像のいいところです。CDだったら絶対に参加させてないよなあって思うような存在感です。
ここにスライ・ストーンがいてくれたら最高なのになあ、って思わないところは、まあ彼の人徳ですかね?
そういえば、プリンス映画のDVD3本が廉価で再発されています。これも『
3121』効果でしょうか。『
プリンス・フィルムズ・コンプリートBOX』を持っている人には必要ないですが、こんなことはそうないので、気になる人、いや、どうしても見たい人は、安いのでこの機会に揃えてみるのもいいんじゃないでしょうか。

今回再発されたのは、『
パープル・レイン』(1984)、そしてサウンドトラック、というよりもオリジナルアルバム『
Parade』が名盤として名高い『
アンダー・ザ・チェリー・ムーン』(1986)、サントラともども微妙な作品として名高い『
グラフィティ・ブリッジ』(1990)(でも『
Graffiti Bridge』の曲のいくつかはものすごくいい曲だと思う)です。
一応僕は全部見てるけど、ものすごくコメントしにくい。本当にどうしようもないものだったら、買う必要なしで済むんだけど、プリンスファンにとってはそれなりに、価値があるんです。だって音楽が素晴らしいから。

『
パープル・レイン』はまあ、何度も発売されているからいいとして、注目は映画としてはマイナーな『
アンダー・ザ・チェリー・ムーン』と『
グラフィティ・ブリッジ』ですよね。しかし、やっぱりコメントしにくい。でも、何度も再発されるような代物じゃあないと思う、そういうことを念頭に置いておくといいんじゃないでしょうか。どれも「特別版」なので、たぶん素敵な特典映像つきです。
それぞれについては、気力があるときにでも、書いてみようかと思います。
シリル・ネヴィルはネヴィル兄弟の末弟。ミーターズ、ネヴィル・ブラザーズでのパーカッション、ヴォーカル、作曲等で活躍するニュー・オリンズを代表するミュージシャンの一人です。

『
New Orleans Cookin'』はそのシリル・ネヴィルが2000年にリリースしたソロアルバム。もともとは『Me and Fess』というタイトルで自主制作されたそうです。「Fess」というのは、もちろん彼の敬愛するミュージシャン、プロフェッサー・ロングヘア(Professor Longhair)のこと。といってもプロフェッサー・ロングヘアの曲は2曲、他はアラン・トゥーサンやファッツ・ドミノ等のニュー・オリンズ・クラシックス、アルバムタイトルにもなっている「New Orleans Cookin'」はシリル・ネヴィルとアラン・トゥーサンの共作曲です。
シリル自身が「この作品はニュー・オリンズのオーセンティックなリズム&ブルースを保存する保存所なんだ。同時に私の尊敬するミュージシャンたちへのトリビュートでもある」と言っているように、アルバム全体にもう、ファンキーで楽しいニュー・オリンズ・ミュージック満載です。アラン・トゥーサンがピアノでゲスト参加したライヴ音源が収録されていたり、マニアックな楽しみもありますが、そんなことより、とにかく楽しいんですよ。とにかく味わっちゃいましょう。

シリル・ネヴィルが出ているニュー・オリンズ・ミュージックについてのドキュメンタリーを見たことがあるんだけど、そのときも彼はたしかプロフェッサー・ロングヘアの、ニュー・オリンズの音楽の素晴らしさについて熱く、そして本当に楽しそうに、嬉しそうに語ってました。自身のキャリアについてなんかそっちのけで。そのときの彼の表情はもう本当に好きで好きで、伝えたくてたまらないんだってことが伝わってくるようだったように記憶してます。たしかそれを見てすぐプロフェッサー・ロングヘアのアルバムを買っちゃったような。そしてその音楽は本当に、本当に素晴らしいものでした。『
New Orleans Cookin'』は、音楽でそれを伝えようとしているし、実際伝わってきます。というわけで「入り口」としてもいいんじゃないでしょうか。
エルヴィス・コステロが、今度はアラン・トゥーサンと共演で、アルバム『
The River in Reverse』を6月にリリースするそうです。

それにしてもコステロはこういうの好きですね。ダイアナ・クラールと結婚して、ジャズ路線を進むと思いきや、LOST HiGHWAYからアメリカン・ロックなアルバムをリリースしてみたり(これは良かった)、クラシック路線を歩んでみたり、最近はオーケストラを引き連れてツアーを行い、2枚組ライヴ盤『
My Flame Burns Blue』をリリースしているエルヴィス・コステロ。今度はアラン・トゥーサンですか。グラミーで共演したのは知ってましたがアルバムまで作ってたんですね。もうわけわかりません、が、これは楽しみだったりします。

アラン・トゥーサンといえば、ニュー・オリンズの音楽界ではなくてはならない人ですね。自らソロ・アルバムもリリースしているし(名盤『
Southern Nights』が有名)、ミーターズやドクター・ジョン、他、ニュー・オリンズの音楽だけに留まらず、プロデューサーとしても大変素晴らしい仕事をしている人です。最近はハリケーン被害者へのベネフィットアルバム『
Our New Orleans』で久々に健在ぶりをアピールしてくれてます。で、当然アラン・トゥーサンがプロデュースするのかと思いきや、プロデューサーはジョー・ヘンリーなんですね。

ジョー・ヘンリーは80年代後半からシンガー・ソングライターとして活動しながら、プロデューサーとしても活躍している人です。ソロモン・バークの2002年の復活作『
Don't Give Up on Me』をプロデュースもしてます。このアルバムではボブ・ディランやブライアン・ウィルソン、ヴァン・モリソン等、様々なものすごいミュージシャンが提供した曲を、しっかりした一つの統一したアルバムとしてまとめあげ、すごくいいアルバムに仕上げていたので、全く不安はないんですけどね。このアルバムにはエルヴィス・コステロも曲を提供しているし、ジョー・ヘンリー自らも1曲提供しています。ところで、ジョー・ヘンリー(Joe Henry)と、イーグルスのドン・ヘンリー(Don Henley)は別人です。名字のスペルも違いますし関係ありません。
アラン・トゥーサンの曲の再演と、二人の共作曲、コステロの新曲が収録されるという『
The River in Reverse』。エルヴィス・コステロ好きな人はもちろん、アラン・トゥーサン、ニュー・オリンズ・ミュージック、アメリカン・ルーツ・ミュージック好きな人にとっても注目ですね。どうせならアラン・トゥーサンのソロの方が良かったとか思った人は、聴いてから思いましょう。コステロは共演得意だし、二人でライヴもやるそうなので大丈夫ですよ、きっと。
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Elvis Costello/Allen Toussaint - Verve Forecast
突然(本当はそうじゃないかもしれないけど、僕を含め、多くの人にはそう思えた)帰ってきたアル・グリーンの2003年の復活作『
I Can't Stop』。ウィリー・ミッチェルと再コンビ結成といっても、ここで聴けるのはハイ・サウンド2003ではありません。時を越えたメンフィス・ソウル・ミュージックです。復活したのはハイ・サウンドじゃなくて、アル・グリーンの音楽にある興奮、高揚、そして楽しさです。

もう楽しくって仕方ないです。「ワオ!」って感じです。アル・グリーンのゴスペル期のアルバムは僕は編集盤を1枚聴いただけだけど、21世紀になってまさかこんな「スウィート・ソウル・ミュージック」が聴けるなんて思ってもみませんでしたよ。年齢による深みあふれるソウルだと思ってたら、これ。一時代を築いたベテランによる回顧アルバムじゃあないんです。「やってやったぜ!」ってところでしょうか。いいですよぉ。
狂い咲きか、と思いきや、2005年、"The Reverend Al Green"になってリリースした『
Everything's Ok』はもっとすごいですよ。ソロモン・バークも『
Don't Give Up on Me』(2002)、『
Make Do With What You Got』(2005)と素晴らしいアルバムをリリースしていますが、生き残った人間だけが歌える歌もあるんだなあって思います。本当に。夭折した(せざるをえなかった)ミュージシャンの鮮烈な音楽も素晴らしいけれど、こうして生き残って素晴らしい音楽をリリースするということは、本当に素晴らしいことだと思うんです。もちろんしたくてもできなかった人も大勢いるし、引退してしまうのだって自由です。ただ、レジェンドだった人が、こうしてリアルタイムで音楽を生み出してくれるのは、どうにもすごく嬉しいことです。

ところで、「深み」という言葉を使いましたが、アル・グリーンの音楽に深みはないのか、もちろんそんなことはありません。映画にもなったニック・ホーンビィの小説『
ハイ・フィデリティ』で僕が一番共感した言葉は、「『
Al Green Explores Your Mind』が人生そのものようにまじめな作品であることは、周知の事実なのだが」ってとこです(それが一番というのは小説としてはどうかと思いますが…)。この「まじめ」っていうのは心にとって「まじめ」ってことです。そう、だからこそアル・グリーンの音楽は心の奥底まで響いてくるのです。
愛についてだろうと、自由についてだろうと、孤独についてだろうと、女の子のことについてだろうと、政治についてだろうと、信仰についてだろうと、車とサーフィンについてだろうと、音楽にとっての深みは題材にだけについてくるもんじゃないよなあ、って思います。
4月13日といえば、アル・グリーンの誕生日です。僕はアル・グリーンが大好きです。2006年に入ってやったことは、2006年リマスターされた彼のハイ時代の持ってなかったオリジナルアルバムを揃えたこと。以前のリイシューの時のように魅惑的なボーナス・トラックは収録されていないけど、そんなことはどうでもいいのです。とにかく素晴らしいから。

アル・グリーンのオリジナルアルバムを買うということは、それはもう至福の時間が増えるということなのでぜひおすすめしたいけど、とりあえずはベストアルバムを買っちゃって問題ない人だと思います。日本で広く流通しているのはフリー・ソウル・シリーズの『
フリー・ソウル : クラシック・オブ・アル・グリーン』でしょうか。この編集盤に収録されている曲は間違いなく本当に素晴らしい音楽ばかりだけど、ベストアルバムとして聴くには一つだけ問題があります。それは名曲「Tired of Being Alone」が収録されていないこと。
アル・グリーンの歌う"Baby"という言葉には本当にたくさんの意味が、感情が詰まっているんだけど、「Tired of Being Alone」での"Yeah Baby"は本当に特別。あまりにも切ないし、他のどんな言葉よりも、たった一言のシャウトが切実な感情を伝えてくるのです。「Tired of Being Alone」という曲のタイトルからして最高。

というわけでアル・グリーンのベストアルバムなら伝統的な『
Al Green - Greatest Hits』か、2枚組の『
Love & Happiness: The Best Of』なんかがおすすめです。前者は、ニック・ホーンビィの小説『
ハイ・フィデリティ』で立派な地位を得ているけど気に入らない奴に対して、「『
Al Green - Greatest Hits』のA面を聞く時間だってないはずだ」と考えて自分を慰めるのに使われたりもしてますし(暗いなあ)。でも今なら2枚組の方が濃厚でいいでしょうね。『フリー・ソウル : クラシック・オブ・アル・グリーン』だけ持っている人はオリジナルアルバムの『
Gets Next to You』を買っちまえばすむことです。モータウン・ソングの「I Can't Get Next to You」のハイ・サウンド、アル・グリーン・ヴァージョンはとにかく素敵だし、サム・クックも縁のスタンダード「God Is Standing By」の素晴らしいカヴァーも収録されていますよ。もちろんオリジナルも最高。
メアリー・J.ブライジのアルバム『
The Breakthrough』(2005)に収録されている、U2との共演ヴァージョンの「One」。僕はこの曲は本当に素晴らしい曲だと思っているし、メアリー・Jもけっこう好きです。彼女のライヴアルバム『
The Tour』はかなり素敵なアルバムだと思うし、アレサ・フランクリンのカヴァーはかなりぐっと来る出来だと思ってます。でも、この「One」はどうにもぱっとしないというか、はっきり言ってしまえばつまらないのです。

共演だけあってバックは完全にU2サウンド。ボノが最初に歌って、メアリー・Jが加わってソロになり、ところどころデュエットになるというありきたりな構成です。悪くはないんだけど、どうせカヴァーするなら、自身のサウンドでやって欲しいと思うんですよね。彼女の本質はシンガーだからいいのかもしれないけど、これほどの実績を持つシンガーならなおさら、特に自身のオリジナルアルバムに収録するなら、自分のサウンドで歌って欲しいと思うんです。
この「
One」、グラミー効果もあって、チャリティー・シングルとしてUKでリリースされヒット中だそうです。これには何の文句もありません。どんどん売れるといいですね。
そういえば、演奏はU2で、R.E.M.のマイケル・スタイプが歌う「One」もありましたね。僕はR.E.M.が本当に大好きだけど、やっぱりこのテイクもいまいちでした。でもこれはたしか、何かのチャリティーか企画だったと思うので、まあOKです。CDで持ってる気もするけど、ずっと聴いてないし、どれだか忘れました。探す気力もないので、まあ思い出したら紹介してみましょう。おもしろい共演ではあるし。
(思い出したので追記。『CHILDREN』というベネフィット・アルバムみたいなコンピレーション。MTVのパフォーマンス。)

U2の曲のカヴァーにはろくなものがないと常々思ってるけど、これは素晴らしいと思うのは、カントリー・レジェンド、ジョニー・キャッシュがカヴァーする「One」(『
American III: Solitary Man』に収録)。これは本当に素晴らしいです。もう完全にジョニー・キャッシュ・スタイル。曲の良さは失われず、違った魅力に溢れている理想的なカヴァーです。ボノはジョニー・キャッシュの大ファンで共演もしてるけど、それよりも断然こっちのほうが素晴らしいです。ジョニー・キャッシュの独特な、絶妙で真摯な語り口と、アコースティク・ギターが素晴らしい。シンプルだけど泣けるギターも聴きどころです。
この曲に限らず、ジョニー・キャッシュの晩年のアメリカン・レコーディング・シリーズはかなり聴き応えありますよ。カントリー・レジェンドと紹介しましたが、ジャンルなんか関係なしに、一人のとんでもない人間の執念が宿っているかのような代物です。
ローリング・ストーンズが華々しく来日公演を終えた今、一方U2の延期された来日公演は、やっと「完全払い戻し、振り替え来日公演への優先販売」というふうに決着しましたね。「振替公演が決定した場合、4月4日の公演のチケットをお持ちの方を対象に優先販売を実施する予定です。」の一文がなかなか曖昧で不安を煽る感じです。

そんななか、U2のベーシスト、アダム・クレイトン婚約のニュースが。10年付きあってるカナダ人のガールフレンドと来年結婚するそうです。特に興味はないけど、おめでたい話です。
「いったい今年の後半までU2は何をしてるんだろう?」と思うU2ファンはそんなに多くはない気がするけど、とりあえずジ・エッジは「
Music Rising」というプロジェクトを立ち上げてます。詳しくはリンク先でどうぞ。
少しは音楽の話題にも触れましょう。U2とメアリー・J.ブライジの共演ヴァージョンの「
One」がUKでヒット中とのこと。ふうん。
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U2.com Official News・
U2日本公演延期のお知らせ
何十年にもわたって、あらゆるジャンルでカヴァーされ続け、愛され続けている掛け値なしの名曲「Sunny」。「Sunny, yesterday my life was filled with rain」で始まる歌詞とメロディーは、オリジナルに限らずどこかで聴いたことがあるんじゃないでしょうか。本当にたくさんのカヴァーがあるけれど、オリジナルはナッシュヴィル出身、1938年生まれの黒人シンガー・ソングライター、ボビー・へブの1966年のヒット曲です。

「Sunny」は一言で言ってしまえば失われた大事な人のための歌です。歌詞ではそれが誰か特定しないようになっているので、僕はこの曲はラヴソングだと思っていました。実際ラヴソングでもあるんですが、実はこの曲、ボビー・へブが亡くなったお兄さんのために歌った曲なんだそうです。
音楽一家に生まれたボビー・へブとお兄さんは2人兄弟で、小さな頃からいっしょに歌ったり踊ったりもして、彼をこの世界に導いてくれた人でもあったそうです。僕はボビー・へブについて詳しく知っているわけではないんだけれど、そう思ってこの曲を聴くと本当にしっくりくるし、彼にとって兄がどんなに大事な人だったかが、ものすごく伝わってきます。
ジャズでもよくカヴァーされていることからも、歌詞だけじゃなくて、曲がもちろん素晴らしいです。でも、大事な人を想うということは、本当に普遍的な感情で、それが曲に表れているからこそ、普遍的なスタンダートとしてこんなにも長い間歌われ続け、愛され続けているんじゃないかと思うのです。

こう言っては失礼かもしれませんが、ボビー・へブよりもずっと実績があり、音楽的才能に恵まれているものすごいミュージシャンが大勢「Sunny」をカヴァーしています。それはこの曲が時代も、人種も、何もかもを越えて、本当にたくさんの人の心に届く普遍的な力を持っているからじゃないかと思うのです。

ボビー・へブはまだ現役で、2005年にはニューアルバム『
That's All I Know』をリリースしています。35年ぶりらしいです。このアルバムには「Sunny」の新録も収録されていますよ。僕は持ってませんが。
それからなんと様々なミュージシャンがカヴァーした「Sunny」だけを集めて、オリジナルも収録した編集盤『
Sunny』と、その第二弾の『
Sunny Part 2』までリリースされてます。これはすごいですね。
オリジナルを聴くなら、上記のコンピレーション『
Sunny』、サントラ『
ラッキー・ブレイク』等で聴くことができます。
『
music from and inspired by LUCKY BREAK』、これはいいですよ。2001年のイギリス映画『
ラッキー・ブレイク』のサントラなんだけど、映画に使われた曲だけじゃなくて、最近よくある映画のイメージにあう曲も収録したサントラです。でも、選曲が良くてスカ・レゲエのコンピレーションとして普通に楽しめるんですよ。適当なヒットソングを収録して売りますみたいなものではないのです。

このアルバムの最高に素晴らしいところは、名曲「Sunny」のボビー・へブのオリジナルが収録されていることです。「Sunny」については長くなりそうなので別の機会にするとして、収録曲はザ・メイタルズの「54-46 (Was My Number)」、クラッシュのカヴァーで有名な「Police and Thieves」のジュニア・マーヴィンのオリジナル、ジミー・クリフの名曲「The Harder They Come」、他にもデリック・モーガン、デズモンド・デッカー、スカタライツ、プリンス・バスター、グレゴリー・アイザックス等、60、70年代のスカ・レゲエの名曲がこれでもかと収録されています。全14曲中映画のスコアは4曲だけ、他は全部ジャマイカン・クラシックスです。

ここでおもしろいなあと思うのは、スカ・レゲエのコンピレーションとして楽しめるのと同時に、それらのジャマイカ音楽がイギリス音楽にどういう影響を与えたのかを見て取れるようになっていることですね。そういう意図で編集されているんでしょう。きちんとした意図、テーマがある編集盤はいいものです。クラッシュ(もしくはジョー・ストラマー)やスペシャルズのファンが聴いてもおもしろいと思いますよ。「Police and Thieves」のクラッシュのカヴァー(『
The Clash』収録)は素晴らしいと思うけど、オリジナルも素晴らしいですから。どっちも「オー、イェー」です。
収録曲を見て、定番ばっかりでつまんねえよって思う人もいるかもしれないけど、そういう人にはボビー・へブの「Sunny」があります。この曲、本当にカヴァーされまくっている名曲なんだけど、そのわりにオリジナルはちょっと手に入れにくいんです。実際僕は「Sunny」ためだけに買ったんだけど、コンピレーションとしても良かったというわけです。映画は見てなかったんですよね。
一応4曲収録されている映画のオリジナル・スコアについても触れときましょう。このスコアの作曲者はアン・ダドリーという人。元はアート・オブ・ノイズにいた人だそうです(名前しか知らない)。スカ・レゲエ的な要素と、60、70年代の映画音楽的な雰囲気を組み合わせて現代的に仕上げてて、けっこうおもしろいです。どれも短いので、アルバムのブレイクとしてもいいんじゃないでしょうか。元々映画のイメージで集めたサントラなので、そこまで浮いてないです。1曲かなり浮いてるけど、映画のための音楽だし仕方ないですよね。1曲かなりいいなって思う曲もありますよ。
「Every Breath You Take(見つめていたい)」は好きなんだけど、ポリスもスティングも好きじゃない、そんなわがままな人にピンポイントでおすすめなアルバムが『
Reggatta Mondatta: The Police Reggae Tribute』です。

『
Reggatta Mondatta: The Police Reggae Tribute』はタイトル通り、ポリス(スティングも含む)の曲のレゲエ・カヴァーを集めたコンピレーション・アルバム。
「Every Breath You Take」は、「Clean Up Women」で有名な実力派女性ソウル・シンガー、Betty Wrightが歌ってくれてます。この曲では一応レゲエっぽいリズムが入ってるけど、あんまりレゲエっぽくなく、スロー・バラードとして歌ってます。なかなか良いです。でも、あのギターとベースが作りだすメロディーがないのは、ちょっとさみしいかな。「Every Breath You Take」の魅力は歌だけじゃなく、というよりもむしろ、ギターとベースラインなのかもしれません。
じゃあ素直にポリスの
オリジナルを聴けばいいんだろうけど、ポリスのサウンドっていまいち好きじゃないんですよね。曲は好きなんですけど。不思議な曲です。
『
Reggatta Mondatta』の他の曲はどうかっていうと…、僕はポリスもスティングもろくに聴いてないのでよくわかりません。さらにレゲエはレゲエでも、どうも僕の好きじゃないサウンドが揃ってるんですよね。あ、「Jamaican in New York」っていう曲があって(オリジナルは「Englishman in New York」ですよね)、笑えます。Aswadの「Roxanne」は悪くないかな。
「本当におすすめなの?」って感じですが、どうでしょう? 実際「Every Breath You Take」以外はろくに聴いてません。でも役に立つこともあるかもしれませんよ。
気まぐれに始めた「猫ジャケ シリーズ」。その1で終わりのつもりだったんだけど(音楽界ではよくあることですよね)、せっかくだからもう一回ぐらい続けてみましょう。

というわけで、リサ・ローブさんの1995年のデビュー・アルバム『
Tails』です。ええと、確かこれは映画『
リアリティ・バイツ』に使われた曲"Stay"が大ヒットして、その勢いとともにリリースされたアルバムですね。僕も『
リアリティ・バイツ』を観て(サントラも持ってた)、「いいな、この曲」って思ってたので購入したんだと思います。ジャケットの感じそのままに、なかなか素敵だったと思いますよ。紙ざわりも良かった気がします。ずうっと聴いてないんですけど、"Stay"のことは覚えてます。素敵な曲です。他には…、バンドに「Nine Stories」(
J.D. サリンジャーの短編小説集のタイトル)なんて名前を付けるなんて可愛いじゃないですか。

一発屋になりそうな条件が揃いまくってたのにもかかわらず、リサ・ローブさんは現在でも活躍中です。僕は彼女のアルバムをその後一枚たりとも買ってないんだけど、2005年のフジロックで彼女のライヴを観る機会に恵まれました。あんまり覚えてないけど、隣のステージの音ががんがんに響いてくる悪条件の中、イラつくわけでもなく、ユーモアで観客を和ませたりしてました。なかなか楽しいステージだった気がします。"Stay"も久々に聴けましたし。
そういえば2005年のフジロックにはリサ・ローブさんの他にもザ・ナック("My Sharona")、ダイナソーJrと、『
リアリティ・バイツ』のサントラに参加している人達が3組も揃ってたんです。さらにビッグ・マウンテン("Baby, I Love Your Way")も呼んでくれたら面白かったのにって思ったものです。ちなみにビッグ・マウンテンはサントラのみの参加で、映画で使われた"Baby, I Love Your Way"はオリジナルのピーター・フランプトン(『
Frampton』)のなんですよ。

僕は高校生ぐらいの頃、「時代なんて知ったことじゃないぜ」って感じで地道に音楽をやりながらも、たまにスマッシュ・ヒットを出して名を挙げるルーツ寄りのアメリカン・ロックバンドが大好きでした。
Blues Travelerはそんなバンドの中でもすごく好きだったバンドの一つ。いつのまにか聴かなくなり、名前も聞かなくなってしばらく経った頃、『
ブルース・ブラザーズ2000』のサントラに彼らの名前を見つけたときは嬉しかったです。

Blues Travelerは、古典的なブルースを現代的に解釈して演奏するブルース・ロック・グループ…ではなく、ブルース・ハーモニカを駆使するシンガーJohn Popper中心の、アメリカン・ルーツ・ミュージックを背景にして、いい曲を作って、いい演奏をする良質なロック・バンドです。『
Four』はそんなBlues Travelerの1994年のアルバム。たしか国内盤も出ていたので、けっこうヒットしたんじゃないでしょうか。このアルバムにはいい曲もたくさん収録されてるし、ポップです。久々にヒットシングル「Hook」を聴いたら、胸を締めつけられるような気持ちになりました。懐かしいっていうのもあるけど、純粋にいい曲なんですよ。
「ジャム・バンド」に括られてもいるようだけど、僕にとってBlues Travelerは素敵なアメリカン・ロック・バンドです。でもジャム・バンドの方がクールなのかな。Blues Travelerは現在でもコンスタントにアルバムをリリースして、活躍中です。

エイプリル・フールといえば、「
ドラえもん」ですよね。この日はいつものび太くんは大変そうです。でも、たまにはいいこともあるんですよね。
あ、いいことがあるのはのび太くんにとってです。僕にとっては普通の日です。それでも毎年ドラえもんのことを思い出すのです。「エイプリル・フールなんて何の意味もない」と思いがちだけど、ドラえもんがあるために、ほんのちょっとだけ意味がある日なのかもしれません(そうじゃなかったら救いようがない)。