プリンスのDVD『
サイン・オブ・ザ・タイムズ』、ついに発売しましたね。このDVDはプリンスの絶頂期、最高傑作と言われるアルバム『
Sign 'O' the Times』後の87年に行ったライヴを元にしたドキュメンタリー映画。映画といっても実際はライヴDVDですね。ファンの間では長らく正式なDVDリリースが待たれていた作品です(うさんくさいブラジル版とかは出回っていた)。

さて、届いてみてまず目につくのは、B級感あふれるパッケージ。不安を煽ります。なんていうか、今までよく目にしてきた権利関係の危うそうな商品にありがちなパッケージです。帯には「公式版」「デジタルリマスター版」としっかり書かれています。これがなかったら素性を疑います。賢明な判断です。
パッケージを開けてみると、中にはブックレットなど一切なく、ジャケットの紙一枚(クレジットすらない)とチラシ一枚のみ。そしてDVDにはしっかりと「PRESSED IN TAIWAN」の文字が。でも誤解してはいけません。TAIWAN製の自転車は安いのに、すごく高品質です。僕はTAIWANに良いイメージを持ってますよ。しかし、国内販売のDVDぐらい国内でプレスしろよ、と思ったりもします。まあどこでプレスしようが関係ありません。中身さえよければ。
残念ながら我が家には5.1chの環境がないので、音質面での正当な評価は下せません。ステレオ環境では、まあ普通です。さほどいいとは思わない。メニュー画面にはPLAY ALLと字幕のオン・オフしかなく、トラックセレクトは出来ません。もちろんこれはプリンスの深遠な意志ではなく、手抜きでしょう。一応曲ごとにチャプターは分かれているのでプレイヤー側で操作できます。
さてと、実はこの後いろいろ書いたんですが、消しました。このDVD、普通のステレオ環境ではやっぱり音が良くないですね。商品としては、ファンの人には絶対的におすすめですが、そうでない人(特に5.1ch環境がない人)にはさほどおすすめしません。

軽く内容について触れると、「I Could Never Take The Place of Your Man」は大好きで、新たに音が加わったライヴヴァージョンには高揚するし、「If I Was Your Girlfriend」には意識がくぎ付けになる。「It's Gonna Be a Beautiful Night」でディーク・エリントンの「Take the 'A' Train」のフレーズが演奏されたときには思わずにやってしてしまいます。楽しい。『
Sign 'O' the Times』の曲はやっぱり良いです。欲を言えば全曲収録して欲しかった。シーラ・Eのドラムソロは飛ばしたくなりますが、僕はリズムを刻まない無駄なドラムソロは大嫌いなので参考にしないでください。エンドクレジットに流れる「Sign of the Times」のインストヴァージョンもかっこいいですね。僕はプリンスが大好きです。このDVDを観ていろいろと考えることはあったんだけど、それはまた別の機会に。
最近なぜか記憶の底から浮き上がってくるメロディーがあって、だけど、何の曲のだかわからなくて気になっていたのです。まず、たぶんメロディー展開からビリー・ジョエルの曲なんじゃないかなって思い、そしてそこから僕の記憶はこれは「Piano Man」なんじゃないかって示しているように思える。しかし、確証はもてず、気になっていたのです(僕はもうビリー・ジョエルのアルバムは持っていない)。

あまりにも気になったのでiTMS(US)で調べました。やっぱり「Piano Man」でした。よかった、よかった、胸のつっかえが取れた。「Piano Man」が収録されているアルバム『
Piano Man』は、僕が高校生ぐらいのときによく聴いてました。ビリー・ジョエルのアルバムではこのアルバムが抜群に気に入っていたように思います。しばらく、ずっと聴いていなかったのに(10年ぐらい?)記憶の中にメロディーが蘇ってきたってことは、好きなんですね、きっと。思い返すと、70年代のビリー・ジョエルの音楽はけっこういいものだったと思います。僕の記憶は『
Piano Man』と、その前のファーストアルバム『
Cold Spring Harbor 』、それと『
Songs in the Attic』をおすすめしています。また聴きたくなりました。どっかにあるのかな。それとビリー・ジョエルのアルバムは90年代の終わりにリマスターされて買いやすい値段でリイシューされていたようです。今まで知らなかった。

そういえば、ビリー・ジョエルの最大のヒット曲「Just the Way You Are(素顔のままで)」をダイアナ・クラールがライヴアルバム『
Live in Paris』でカヴァーしてるんだけど(この曲だけスタジオ録音、ボーナストラック扱いでアルバムラストに収録)、純粋に、「いいな、この曲」って思いました。そう、ビリー・ジョエルの曲っていいんですよね、忘れてたけど。

ところで、同じく『
Live in Paris』に収録されてるジョニ・ミッチェルの「A Case of You」のカヴァーはさらに、ずっと素晴らしいです。これはいい。現代最高の"Piano Lady"による、彼女自身のピアノによって弾き語られる「A Case of You」、本当に引き込まれてしまいます。あまりにも美しく、そして少し恐ろしい。曲が終わった後、割れんばかりの拍手が入るんだけど、本当そんな気持ちになります。曲が演奏されてる間は息をするのもためらいたくなるほどです。ジョニ・ミッチェルのオリジナルのにある"Oh Canada"の後の「アァー」がないのは少しさびしいけど、素晴らしいカヴァーです。ダイアナ・クラールの歌はもちろんだけど、ピアノがいいんですよ。ジョニ・ミッチェルのオリジナルももちろん素晴らしいです、名盤『
Blue』やライヴ盤『
Miles of Aisles』等に収録されています。しかしこの曲をカヴァーして発表するというのは、相当の覚悟がいると思います。
「A Case of You」が圧倒的なライヴのエンディングだとすれば、「Just the Way You Are」はライヴ終了後に余韻を楽しむように会場でかかる音楽のようです。ボーナストラックにしてはなかなか良い選曲です。

Whispering Pines: Live at the Gateway 1985 / Richard Manuel このアルバムについては、いろいろと、たくさん書きたい気もするし、何も書きたくない気もする。でも、たぶん、このアルバムをわざわざ買って、大事に聴く人の気持ちはいっしょなんじゃないかな。
"Thank you Richard…"
ワイルドサイドを歩き続けるルー・リードの続きにしようかとも思ったけど、やめにして、最新の気になる最新アルバム情報について。

ヴァン・モリソンがアメリカ、ナッシュヴィルのレーベル
Lost Highwayに移籍して、ニューアルバム『
Pay the Devil』を来月3月にリリースするんですよね。ヴァン・モリソンといえばアイリッシュソウル・ロックの大ベテラン(すごい人です)で、Lost Highwayは地名と名前から想像できる通り、ルーツよりのオルタナティヴロック・カントリーロック・カントリー系のレーベルです(ライアン・アダムスやルシンダ・ウィリアムズが所属している)。
僕はエルヴィス・コステロがLost Highwayから出した『
The Delivery Man』がかなり気に入っているし、同じく移籍組のThe Jayhawksの『
Rainy Day Music』(Ethan Johnsプロデュース)なんてこれ以上ないんじゃないかってくらい素晴らしいサウンドで鳴っていたので、期待してしまうのです。

しかし『
Pay the Devil』ってオリジナルも入るけど、基本的にカントリー・カヴァーアルバムみたいなんですよね。一応一曲だけ試聴できるので聴いてみると、こてこてのカントリーソングでした。ウィリー・ネルソンもそうだけど、ヴァン・モリソンもわけわからないことするなあ。本気でベルファスト・カウボーイ(北アイルランド、ベルファスト出身)をやるつもりなのか?
僕はカントリー好きなんだけど、こてこてのよりも、カントリーが他の音楽の要素と混じった音楽が好きなんですよね。ヴァン・モリソンの多彩なキャリアにはしっかりとカントリーの要素が入ってるけど(アメリカンミュージックとの関係性は深い)、あくまでヴァン・モリソンの音楽でしたし。まあ、まだ一曲しか聴いてないので発売されてから吟味しようかと思ってるんですけど。
ところで最初にルー・リードの名前を出したのはヴァン・モリソンは「Bright Side of the Road」っていう曲を歌ってるから(この曲大好きなんです)。僕はヴァン・モリスンの全アルバムを持っているわけじゃないけど、この曲が入ってる『
Into the Music』いいですよ。

関係ないけど(あるといえばあるけど)、ウィリー・ネルソンが2005年にLost Highwayからリリースしたレゲエ・カヴァーアルバム『
Countryman』に収録さてる、ジミー・クリフの「The Harder They Come」のカントリー・カヴァーはすごくいいです(この曲はカントリーヴァージョンです)。アルバム全体についてはちょっとコメントを差し控えるけど。
しかしこのジャケットをぱっと見てウィリー・ネルソンのアルバムだとは思わないですよね。
前回のヴェルヴェット・アンダーグラウンドの『
Loaded』の補足として、ルーリードが2003年にリリースしたベストアルバム『
NYC MAN』での彼自身の「Rock & Roll」についてのコメントを引用しておきます。
「『ローデッド』には、素晴らしい曲がたくさん入っていた。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファンであれば誰しも、こいつがしかるべきサウンドで鳴っているのを聴いて喜んでくれるのではないか。例の再処理されたステレオ・レコーディング(アナログ盤の)は、実に怖いものだった。これが正しく作られたものだ。」(Lou Reed)
そう、素晴らしい曲がたくさん入っているんです。そういうわけでヴェルヴェット・アンダーグラウンドやルー・リードのファンであれば、一般的な評判に負けず、ぜひ『
Loaded』(できれば"Fully Loaded Edition"を)を聴いてみて欲しいと思うのです。

せっかくだからそのコメントが載っているルー・リードのベストアルバム『
NYC MAN』について書いてみましょう。この2枚組のベストアルバムはサブタイトルに「The Ultimate Collection 1967-2003」とあるように、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド時代から2003年のアルバム『
The Raven』までの曲を、レーベルを越えてルー・リード自身が選曲、編集したベストアルバムです。さすが本人が選曲、編集してるだけあってこのベストアルバム、一筋縄ではいきません。

まず曲順、まるでライヴセットでも組むかのように時代とかを無視して自在に並んでます。しかし、ルー・リードの曲は時代、アルバムによってかなり違うサウンドになってます。つまりアルバムとしてはときどき聴いてて違和感があるんですよ。時代順じゃないのはいいんだけど、U2みたいに「せめてVU時代と70年代、それ以降とかに別けてくれよお」と最初は思いました。
しかし、最新作の『
The Raven』からの曲の未発表ヴァージョンから始まり、時代を行き来しながら60年代のVU時代の曲「Pale Blue Eyes」で終わるこの曲順、そのうちになんだかくらくらと気持ちよくなっていきます。ルー・リードという一人のとんでもない男の物語を、時代を行ったり来たりしながら味わってる気分になるのです。特にディスク2の後半、名曲「Satellite of Love (1972)」から「NYC MAN (1996)」「Dirty BLVD. (1989)」と続く曲順は最高です。そして最後にたどり着いた「Pale Blue Eyes」の美しさったらもう格別です。ただの曲の寄せ集めではない何かが、この編集盤にはあるように思えてきてしまうのです。
選曲も本人でしかなしえないものになっています。ある曲はミックスし直したり、ライヴヴァージョンを収録したり、けっこうこだわってます。もちろんルー・リードのヒット曲、代表曲はしっかり収録しているし、全曲リマスター(時代によるサウンドのばらつきはあるけど)。さすが「究極」です。ところでこのアルバムを聴いてVU時代、70年代の代表曲はもちろんいいんだけど、90年代以降のルー・リードの音楽もすごいいいなあって再確認しました。アルバムタイトルにもなってる「NYC MAN」とか、こんなにいい曲だったんだって思いましたよ。
しかしファンにとって最も注目するところは(そりゃあオリジナルアルバム持ってるからね)、なんとルー・リード自身の収録曲へのコメントがついているのです。なにせ書いてるのはルーリードですから普通に無難なコメントじゃありません。これがおもしろい。でも今日はこれぐらいにしときます。もしかしたら続く。
とにかく『
NYC MAN』はただのベスト盤と括るにはちょっともったいない、ルー・リードという愛すべきロックンローラー、シンガーソングライター、そしてラッパーでもある人物の音楽はもちろん、人間性を理解するにも最適なアルバムです。
60年代の伝説的バンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、僕が彼らの中で一番好きなアルバムを聞かれたら、迷わず『
Loaded』、できれば『Fully Loaded Edition』と答えることでしょう。そう、つまり僕はVUというよりもルー・リードが好きなのです。ニコの艶やかな美しさも、前衛的なサウンドも、アンディ・ウォーホールがデザインしたあまりにも有名なジャケットも(これはあった方がいいと思うけど)僕には必要ない。必要なのはルー・リードのソングライティングです。美しさも汚さもルー・リードの曲の中にあるんだから。

『
Loaded』は実はあまり評判がよろしくないアルバムなのです。『Loaded』は1970年にリリースされたヴェルヴェット・アンダーグラウンドにとって4枚目、そして実質的に最後のアルバム。ジョン・ケールはすでに脱退、メンバー間の仲もぼろぼろ、サウンドは有名な『
The Velvet Underground & Nico』やセカンドの『
White Light/White Heat』とは全然違うし、曲によってはルー・リードが歌ってない。リリースされるまでにいろいろな問題があってルー・リードが満足のいく形でリリースできなかったアルバムです。実際このアルバムを最後にルー・リードはソロに転向、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは崩壊してしまいます(すでに崩壊してしまっていたとも言える)。

そんなアルバムがどうして好きなのかというと、ルー・リードのソングライティングの資質が開花したロックンロールアルバムだからです。それまでもいい曲をたくさん書いてますけど(それはそれで好き)、ここではソロのルーリードの音楽を印象づけるリズムギターが炸裂してます。それに名曲「Rock 'n' Roll」と「Sweet Jane」が収録されていますから。この2曲はルー・リードがソロになってからも重要なレパートリーで、彼のライヴアルバムでも何度も録音されています。ダグ・ユールが歌っているバラード(書いたのはルー・リード)も味わいがあっていいんですよね。「New Age」とか「Oh! Sweet Nuthin'」もけっこう好きなんですよ。
といってもやっぱり注目は「Sweet Jane」と「Rock 'n' Roll」ですね。僕はこの2曲が大好きです。僕が初めてVUの音楽を聴いたのはライヴアルバムの『
1969: Velvet Underground Live, Vol. 1』なんだけど、このアルバムすごく音が悪い、演奏も特にすごいわけじゃない、でもその中の「Sweet Jane」と「Rock 'n' Roll」にはすごく引き付けられたのです。
特に「Rock 'n' Roll」、レッドツェペッリンの「Rock 'n' Roll」みたいにハードなわけじゃないし、ものすごいメロディーがあるわけでもない。でもイントロギターが鳴っただけでもう僕には堪らない。そのギターが創りだすリズムとともに、語るように、吐き出すように歌われるラジオから流れるロックンロールについての歌は理屈抜きに最高なのです。

「Sweet Jane」、この曲も大好きです。どう好きなのは説明しにくいんだけど、ルー・リードのギターが創りだすリズムはちょっと特別なのです。たぶんルー・リードはギタリストとしてはあまり評価されてないと思うんだけど、その特別なリズムギターは彼のソングライティングを特別なものにするものの一つで、「Sweet Jane」はそのリズムとルー・リードの特色あるメロディー展開、そして言葉の魔力が一体になってできたすごい曲だと思うんです。
ルー・リードは後に「Original Wrapper」という曲を歌ってますが、それは歌のスタイルだけじゃなく、リズムだってすごいんだぜっていう自負があるからじゃないかと思ったりもします。一部で有名なこの曲「Original Wrapper」を聴くならライヴの『
Perfect Night : Live in London』の方がおすすめです。異常にかっこいいから。
そういえば僕がルー・リードの来日公演に行ったときに「Sweet Jane」やってくれました。嬉しかったなあ。そんなわけでヴェルヴェット・アンダーグラウンドについてと見せかけてルー・リードについてでした。
【“The Velvet Underground 『Loaded』とルー・リード”の続きを読む】
レナード・コーエンの2001年リリースのアルバム『
Ten New Songs』を最近(といっても1ヶ月近く前ですが)購入して、よく聴いています。『Ten New Songs』は当時レナード・コーエン9年ぶりのアルバムということでちょっと話題になっていて、僕もそのことは知ってたんだけどいまさらいいかと思って見送ってました。なぜ今になって聴いているのか? そう、ヴィム・ヴェンダース監督の映画『
ランド・オブ・プレンティ』で使われている曲「The Land of Plenty」が聴きたかったのです。

映画『ランド・オブ・プレンティ』の
オフィシャルサイトの"MUSIC"で「The Land of Plenty」が歌詞の日本語訳付きでエンドレスで流れているのですが、その歌詞をなにげなく見ながら聴いていたら、いつのまにか気に入って、魅了されてました。ちょっと聴くと地味な曲なんだけど、じっくり聴くと美しさと深みがあって、何度でも聴きたくなる中毒性があり、そして聴けば聴くほど味が出てどんどん良くなっていき、そして音楽から自分の頭の中にいろいろな思考が広がっていくという、まさにレナード・コーエンの音楽でした。そして一晩ずっと繰り返し聴き続けた後、もう買うしかないという結果になったのです。
で、映画も観ていないのに(この映画ものすごく観たいんだけど、まだ観れていません)
サントラを買うのもどうかと思うし、ヴィム・ヴェンダース監督は撮影中に『Ten New Songs』を繰り返し聴いていたというので、もともと僕はレナード・コーエンが好きですから「The Land of Plenty」が収録されているアルバム『Ten New Songs』を買おうと思い、思った次の瞬間には注文してました。便利な世の中です。
アルバム自体は最初ちょっと打ち込みの音に戸惑いましたが、聴いていくうちにじわじわと良くなっていきます。気になるのは1曲目のイントロぐらいです。二人の歌を中心にして、その歌に寄り添うようなシンプルな音で、柔らかさや不思議な暖かさがあります。音創りも統一感があって抜き出したりせず最初から最後まで聴きたくなって、だいたいアルバムとして聴いてます。そうすると最後の「The Land of Plenty」がまたやたらといいんです。そして終わったらまた再生ボタンを押したくなるんです。
独自の世界を持ったシンガーソングライターの音楽に耳を傾け、そして気になった歌詞をチェックしたりするのも僕にとって音楽の喜びの一つです。ここでのポイントは歌詞を見ながら聴くんじゃなくて、音楽を聴いて気になったらチェックするというところです。そして『Ten New Songs』も、もちろん気になります。
「The Land of Plenty」を含め『
Ten New Songs』は全曲シャロン・ロビンソンが作曲、ヴォーカルに参加していて、プロデューサーもシャロン・ロビンソンです。ジャケットにも二人で写っているようにこのアルバムは二人の共同作品ですね。

シャロン・ロビンソンという人は僕の記憶になかったんですが、レナード・コーエンの1979年と1980年のツアーにに参加、以前のアルバムでも共作していて(チェックしたらしっかりクレジットされてました)かなり繋がりが深い人なんですね。他にも映画『ビバリーヒルズ・コップ』でも使われたパティ・ラベルの「New Attitude」の作曲者だったり、テンプテーションズやアーロン・ネヴィル、ダイアナ・ロス等にも曲を提供しています。聴いたことある曲もありました。もともとはクラシックピアノを学んでいたそうです。(参照:
Sharon Robinson.net)
そういえば『Ten New Songs』の購入を当時見送った時「よく知らない人と全曲共作、もう67歳だし、今さらいいだろう」なんてことが頭に浮かんでました。まったく人を年齢や知名度で判断したりして、本当に恥ずかしい、自分を責めたいです。その時は調べようと思うほどには興味が湧かなかったのと、インターネットもさほどやってはいなかったということもありますが。ダイヤルアップでしたし。

そういうわけで今僕の中でレナード・コーエン熱が再燃してます。持っていたアルバムも聴き返し、伝記の『
レナード・コーエン伝』まで買ってしまいました。その再燃のきっかけは映画『ランド・オブ・プレンティ』ですが、さらにきっかけはブログ「
Paradise Garage」さんの
ランド・オブ・プレンティについての記事です。この記事を読んでいたらこの映画がすごく観たくなって、トレイラーを見にオフィシャルサイトに飛んでいったわけです。感謝です。映画はまだ観れてないけど、まずは素晴らしい音楽に出会えました。素晴らしい出会いはどこに転がっているかわからないですね。
最後に「The Land of Plenty」の歌詞を少しだけ引用しておきます。曲を聴きながら少しでもこの歌詞に耳を傾けてくれたら、その意味について少しでも考えてみたら、と思います。
I lift my voice and pray:
May the lights inThe Land of Plenty
Shine on the truth some day.
ぼくは声を上げ祈る
この豊かな国の光がいつの日か
真実を照らし出しますように
ベン・ハーパーが2001年にリリースした2枚組ライヴアルバム『
Live from Mars』は実に素晴らしい、理想的なライヴアルバムだと思うんです。

このアルバムがリリースされるまでにベン・ハーパーは4枚のスタジオアルバムをリリースしてきてます。その間ツアーを重ね、4枚目のアルバム『
Burn to Shine』ではBen Harper & the Innocent Criminals名義でアルバムをリリースしたように、ライヴバンドとしての自分の目指す音楽を追及して、そしてリリースしたライヴアルバムです。
かっこいい曲はさらにかっこよく、ファンキーに進化し、フォーキーな曲やバラードは表現力が増してさらに深化。以前の曲に新しい力を与え、スタジオアルバムでは聴けない絶品のカバー曲も収録。成長していくミュージシャンならではの素晴らしいライヴアルバムです。「この曲こんなに良かったっけ?」と思うような驚きがありますし、ベン・ハーパーはどんどんすごくなってるんだって思わせてくれるんですよ。

『Live from Mars』はDisc1がバンドセット、Disc2がアコースティックセットというふうに別れています。どちらもそれぞれに素晴らしいけど、やっぱりおすすめはDisc1でのイノセント・クリミナルズとのバンドセットですね。「もう一介のブルースシンガーなんて呼ばせないぜっ」ってなぐあいに(実際に言っているわけではない)ワイルドでファンキーなサウンドが展開されていきます。本当にかっこいい。バラードも高揚感を持って迫ってきますし、もちろんベン・ハーパー独特の「絶妙な間」みたいなものも失われていません。
Disc2にはベン・ハーパーのシンガーソングライターとしての魅力が詰まってます。美しく歌われるバラード、真摯に語りかけてくるようなメッセージソング、こちらもいいです。
それからマーヴィン・ゲイのカバー「Sexual Healing」が収録されているんだけど、これがまた素晴らしいです。元々素晴らしい曲だけど、バンドサウンドで、絶妙の間、コーラスワークで演奏される「Sexual Healing」すごくいいです。この曲は2003年のフジロックでも演奏されていたし、2003年のDVD『
Live at the Hollywood Bowl』にも、DVDからカットされた
CDにも収録されているので、きっとお気に入りなんですね。DVDの方もおすすめです。
さて、一つ問題があるとすれば、このアルバムを聴いた後一部の曲のスタジオテイクを聴くと、ライヴテイクが聴きたいって思っちゃうことですね。でもこれは悪いことじゃないです。ボブ・マーリーの「No Woman No Cry」のライヴテイクを聴いた後にスタジオテイクを聴くと物足りなく思いますしね。
幸せなことに、現役のミュージシャンの中にこの人(達)の新しいアルバムが出たら、内容も確かめずとりあえず買っちゃおうっていう人が何人かいます。その音楽に深い信頼と愛情、期待を持っているのです。ベン・ハーパーもその一人です。そういうのは時とともに増減するものだけど、ベン・ハーパーは初めて聴いたときから僕は大好きですし、新しいリリースがあれば期待感が募るし、それに彼のリリースにがっかりしたことはありません。

僕がベン・ハーパーの好きなところ、それは自分の世界を持ったシンガーソングライターであるところ。ロック、ソウル、フォーク、ブルース、レゲエ等ルーツミュージックを背景に持ちながらも、枠に捕らわれず、そこから新しい世界を開拓していこうとする音楽性。心にダイヤモンドを持っているところ(僕がふっと思っただけです)。他いろいろ。とにかく僕は彼の音楽が大好きなんですね。

そしてついに来月『Diamonds on the Inside』以来約2年半ぶりのオリジナルアルバム『
Both Sides of the Gun』がリリースされます。しかも2枚組。といってもBlind Boys of Alabamaとの共演盤『
There Will Be a Light』等があったので久しぶりという感じはしませんが。なんていうか、この新作を待望という感じで待ちわびる気持ち、いいものです。新旧かかわらずいいものはいいんですが、やっぱり新作ってちょっといいですよね。
このアルバムを買うことはもう決定してるんだけど、音楽以外のことで悩む要因が。ベン・ハーパーのレーベルはVirgin/EMIなんですよ。そういうわけでCCCD(セキュアCD)を回避しなければならないのです。
さて、調べてみると、国内盤は今回もCCCDであるようです(
参照)。価格は2枚組で2800円。2枚組なら良心的な価格ですので納得がいく人はどうぞ。残念ながらEU盤もCCCDみたいです。US盤は普通のCDです。
ちなみにベン・ハーパーの旧譜でCCCDなのは『
Diamonds on the Inside』と『
There Will Be a Light』『
Live at the Apollo』の国内盤、EU盤です。それ以外は大丈夫です。US盤はもちろん全部CDです(リンク先はUS盤)。しかし、一つ問題が解決したところでまた一つ新たな問題が(こちらはネガティヴな問題ではないです、いや問題ですらない)。
【“Ben Harper, New Album "Both Sides of the Gun" を3月にリリース”の続きを読む】
あえてマーヴィン・ゲイのベストアルバムを買おうとするなら、2枚組の『
The Very Best of Marvin Gaye』がおすすめです。僕はマーヴィン・ゲイのベストアルバムはこれが2枚目なんだけど、以前持っていた1枚のものよりずっとずっと優れていると思います。

様々な理由があるけど、まずは『
What's Going On』以前と以降でディスクが別れているからですね。どちらも素晴らしいんだけど、やっぱりそこで音楽性が分れてるんです。だから分けて聴いた方がいいと思うんですよ。それに『What's Going On』以降は買いやすくきちんとしたアルバムが出てるからいいんだけど、それ以前はわりとごちゃごちゃしててわかりにくくありません? 実際我が家には昔の国内盤、輸入盤、UKの2in1CD、リマスター以前、以後がごろごろころがってます。音源ダブってるし。このベストアルバムはとりあえず聴くならきちんとまとまってていいなって思うんです。音もいいしね。
他にもジャケットはかっこいい、かっこいいピクチャーレーベル、「Got To Give It Up」はフルバージョンで収録されてる、「Distant Lover」は最高のライヴバージョンを収録、アルバム未収録のシングル曲も収録、一曲収録されてる未発表曲もいい、至れり尽くせりです。これから聴く人はもちろん、オリジナルアルバムを揃えてる人にもおすすめの編集盤だと思いますよ。

さて、個人的に気になるのはこれからなんだけど、今年の4月に『The Real Thing In Performance 1964-1981』というマーヴィン・ゲイの貴重ライヴ音源と映像が収録されたCDとDVDのセットが発売されるんです(
bounce.com参照)。CDには『
Live at the London Palladium』の6日後、1977年10月9日に収録されたアムステルダム公演の音源『Live In Amsterdam』が収録されるそうなんですよね。聴きたい。そりゃあ聴きたい。
マーヴィン・ゲイはライヴ嫌いで有名だそうですが、彼が残したライヴ盤『
Live』と『Live at the London Palladium』はそれはそれは素晴らしいものです。『
What's Going On Deluxe Edition』に収録されたライヴ音源も素晴らしかったです。やるからには徹底的にな人なんでしょう。80年代に入ってからのライヴ音源も聴いたことあるけど、それよりもやっぱり70年代の音源の方が好きです。そんなわけで『The Real Thing In Performance 1964-1981』、待ち遠しい。
『
Reflections』はB.B. Kingが2003年たしか77歳の時にリリースしたスタンダードカバー集。B.B. Kingは「キング・オブ・ブルース」とも呼ばれるブルースのすごい人です。でもロックな人との共演も多いし、そんな枠は飛び越えちゃってますね。

『
Reflections』はバンドにジャズピアニスト、ジョー・サンプルが参加してますけど、最近の豪華ゲスト路線とは全く違う、しっかりした統一感のある音創りで僕はすごく好きです。泥臭さは薄れてて聴きやすい音なんだけど、独特の間と味があってすごく気持ちいいんです。選曲も統一感があっていいですね。誰でも知ってるような超有名曲ばかりを集めているわけではないんだけど、バランス良くまとまってて一枚のアルバムとしていいなって思います。全体的にいいんだけど、最後の「What A Wonderful World」、やっぱりじいんと来ますよ。僕はB.B. Kingの音楽をさほど聴いてきてないんだけど、このアルバムはとても気に入ってます。ジャケットの顔も素敵ですしね。
スタンダードソング集ってけっこう好きです。世界を変えてしまうようなすごい力は無いかもしれないけれど、なんとなくふっと買い求めたくなっちゃうんですよね。
大好きな音楽を演奏したい、新しい解釈を施したい、埋もれそうな音楽を聴いて欲しい、様々な意図がありますが、それぞれに良さがあって、素晴らしいものも生まれるし、そうでないものも生まれます。でも気に入ればそれは純粋に楽しみとして、楽しく聴くことができますし、自分の中で大きな発見があることもあります。時を越えて生き続け、人々に親しまれてきてこそ「スタンダード」。いいものです。
ブラジルには僕の大好きな音楽家が何人かいて、カエターノ・ヴェローゾもその中の一人です。カエターノ・ヴェローゾが2004年にリリースした『
A Foreign Sound』(国内盤は『
異国の香り~アメリカン・ソングス』)は、その名の通りアメリカンスタンダードが中心の全編英語のカバーアルバム。ガーシュインやコール・ポーター等のまさにスタンダードな曲から、ボブ・ディランやスティーヴィー・ワンダー、ニルヴァーナまで幅広い選曲、それをカエターノ・ヴェローゾのあの声で歌ってくれる、ちょっと聴きたくなりません?

そんな『A Foreign Sound』ですが、このアルバムに収録されてる「Jamaica Farewell」、好きです。シンプルに、メロディーを大事にして、あの声で歌われる「Jamaica Farewell」、なんかいいんですよね。それからトーキング・ヘッズの「(Nothing But) Flowers」、これがいいんです。この曲はライヴでも演奏していたそうで、さすが素晴らしいです。デヴィット・バーンってこんないい曲書く人だったんだって思わせてくれたりもします(原曲は聴いたことあるはずだけど全く記憶に残ってない、そもそもトーキングヘッズって好きじゃない)。ボブ・ディランの「It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding)」もいいですね(この曲の歌詞からアルバムタイトルを取ってるんだと思う)。
聴きどころも多いけど、曲によってはいまいちだと思うのもあるし、実はアルバム全体としてはそんなに好きじゃありません。でも僕にとっては、絶賛はしないけどたまに聴きたくなる不思議なアルバムです。

ところでこのアルバム、
国内盤と
US盤で曲順と曲目が少し違うんです。こういうの悩んじゃいますよね。僕の持ってるのはUS盤(僕が買ったときにはUS盤しか売ってなかった)だけなので、どっちがいいかはわからないけど、国内盤の方がブラジル盤通りらしいのでいいかもしれません。今は国内盤の方がちょっとだけ安いし。でもUS盤の方にだけ収録されてる「(Nothing But) Flowers」が好きなので僕はOKです。僕の独断ではUS盤をお勧めしてしまいたいところなんだけど、国内盤を聴いてないのそんなこと言うわけにはいかないですね。でもカエターノ・ヴェローゾの「(Nothing But) Flowers」、すごくいいですよ。

そういえばいっしょにロンドンに亡命したジルベルト・ジルは1971年に『
1971〜イン・ロンドン』という全編英語のアルバムをリリースしてます。状況も性質も違うけど、それから30年以上経ってカエターノ・ヴェローゾが全編英語詞のアルバムをリリース、ちょっとおもしろいですね。と思ったら、カエターノの1971年の『
Caetano Veloso』も英語詞でした。失礼しました。
このアルバム、今廃盤になってるようなんです。英語詞だろうとジルベルト・ジルの音楽の魅力は全く損なわれてないし、魅力あるアルバムだと思うし、僕はすごく好きです。見かけたらぜひ聴いてみて欲しいんですが。ジャケットもいいでしょう?
「グラミー賞の受賞式典で、スライ&ザ・ファミリー・ストーンが再結成パフォーマンス?」

という噂の顛末ですが、やっぱりそんなことが起きるわけはなく、スライのトリビュートパフォーマンスの最後にスライ・ストーン本人がちらっと登場しただけのようです。無難なところでしょう。生きてる姿が確認されただけで彼の場合ニュースですから。しかし「ファンク界のJ.D.サリンジャー」ってうまいこと言うなあ。
一応その姿は下のリンクで確認できます。パフォーマンスはともかく格好はファンキー?です。
Surprise! Mohawked Sly Stone takes stage - MSNBC.com
(もしリンク切れしていたらこちらを
クリック)

他に気になるところでは(あんまり気にならないけど)、U2が主要4部門のAlbum Of The Yearを『
How To Dismantle An Atomic Bomb』で、Song Of The Yearを“Sometimes You Can't Make It On Your Own”で受賞したそうです。
他にも合計で5部門受賞したようですね。彼らならきっとこの受賞で得たものを有効に使ってくれるでしょう。来る来日公演にも箔がつきますね。

最後に、僕個人のAlbum Of The Yearを発表しときましょう。
ライアン・アダムス&ザ・カーディナルズの『
Cold Roses』です。もちろんU2のアルバムも素晴らしいけど、このアルバムも本当に素晴らしいですよ。Song Of The Yearはちょっと悩むけど、これもライアン・アダムスの"Meadowlake Street"でいいや。Best New Artistはジョン・バトラー・トリオで。厳密にはNew Artistじゃないけど、ワールドワイドデビューアルバムの『
Sunrise Over Sea』が好きです。フジロックでのライヴもすごかったし。ジョン・レジェンドも好きだけどね。
【“第48回グラミー賞、スライ・ストーン確認 2006”の続きを読む】
僕はいわゆるヘヴィロックとかラップメタルとか呼ばれてる音楽をほぼ聴くことはないんだけど、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンは聴いてました。でも、きっとレイジはそんなふうに括られるべきバンドではないでしょうね。

レイジに関してはやっぱり1996年にリリースされたセカンドアルバム『
Evil Empire』が発売されたときのことをよく覚えてます。ファースト『
Rage Against The Machine』の衝撃から3年、ものすごい期待感と、すごいものが出てくるんだっていう感触が渦巻いていたような気がします。そんな何かに押されるかのようにして僕も買って聴いて驚きました。何だろう? それは今までどこにもなかった音楽だったんです。ミクスチャーという言葉があるように、それはあらゆるところからむしり取ってきて、ごちゃまぜにした音楽なのかもしれないけど、すごく新しい、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンだけの音楽だったんですよね。当然かっこよかったです。
実際レイジの成功、影響力はある流れをつくってしまうほど強力で、同じような音楽が続々生まれてくる状況になったんですが、僕はそのフォロワーのような音楽には一切興味を示してません。レイジだけが特別だったんですね。あのときの感触はレイジの音楽を聴かなくなった今でもしっかりと残ってます。

そんなレイジの音楽を僕はなぜ聴かなくなったのか? それは好みですね。それだけで片づけるのも何なので、あえて一つ理由を挙げるとトム・モレロのギターがうっとうしくなったからですね。これもまあ好みですね。僕はジャンルで音楽を聴くことはないんだけど、どうもヘヴィメタルっていうのが昔から苦手なのです。トム・モレロのギターがヘヴィメタっぽいかっていうと、そんなことないと思うけど(そんなことあるとも思ってるけど)、なんて言えばいいんだろう? 突出した何かっていうのは諸刃の剣であわないこともあるんですね。まあとにかく聴こうとは思わなくなったわけです。
そんなわけでvoのザック・デ・ラ・ロッチャが脱退してレイジ解散後、元サウンドガーデンのクリス・コーネルをvoに迎えて結成されたオーディオスレイヴは聴いてません。サウンドガーデン(90年代のオルタナティヴロックバンド)も昔は聴いてたんだけど、興味は持てませんでした。一応視聴はしたような気はしますが。僕がレイジ好きだって知ってる友達に「オーディオスレイヴは聴かないの?」って聴かれたときにも「うん、聴かない」って迷わず答えてます。善し悪しではなく興味が持てなかっただけで、オーディオスレイヴを貶めてるわけではありません。当たり前だけど、違うものですし。

そして時は経ち2006年現在、MC5のカバー「Kick Out the Jams」を聴くためだけに、2003年にリリースされて買うだけ買っといてろくに聴かず放置してあったライヴアルバム『
Live at the Grand Olympic Auditorium』を聴きました。そしたら、かっこいい、すごい。僕が買っていたのはライヴDVD付きの限定版で、見もせずに放置していたのをついでに見てみたら、かっこいい、すごい。カバーアルバム『
Renegades』で聴いたときも思ったけど、「Kick Out the Jams」はMC5のオリジナルより好きかもしれない。思うのは、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンはやっぱり真にオリジナルなすごいバンドだったんだなってことです。こんな音は他のどこにもない。カバーアルバム『Renegades』もどう聴いてもレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの音楽です。

レイジの音楽をこれから聴くなら、僕の個人的なおすすめはライヴアルバムの『
Live at the Grand Olympic Auditorium』でしょうか。このライヴは解散直前2000年の録音ですが、レイジのライヴはすごいと定評がありましたし、ライヴアルバムにするために意図して録音されたものですから。実際今聴いてすごいと思いましたし。オリジナルアルバムは探索するのが面倒くさくて聴き返してないけど、やっぱりセカンド『
Evil Empire』の印象が強いですね。サードの『
Battle of Los Angeles』からの曲が格闘技のPRIDEで使われてるらしいからそれでもいいかもしれない。よく知らないけど。まあどれからでも間違いはないんじゃないかな。僕がこれから聴き続けていくかはかなり疑問だけど、きっと今聴いてもかっこいい音楽だと思うし、聴き続けられていく音楽だと思います。
デトロイトのロックバンドMC5が1969年(録音は1968年)にリリースしたファーストアルバムにしてライヴアルバム『
Kick Out the Jams』、かっこいいですね。当時商業的には成功しなくて、MC5自体もその後2枚のアルバムをリリースしただけで解散しちゃったんですが、パンクの原形になったとも言われて、いわゆる再評価とその影響力ですごく有名なアルバムですね。アルバムタイトルにもなってる「Kick Out the Jams」はよくカバーされてる曲ですし。

同じく1969年にものすごいアルバムをリリースしたアメリカのロックバンドには、あまりにも有名なザ・バンド("
The Band")とCCR("
Bayou Country")がいますね。商業的成功も収めたこの2組のアルバムより、「MC5の方がワイルドでクールだしずっとかっこいいぜっ」なんて言えた方がMC5の紹介としてはいいのかもしれないけど、僕はザ・バンドとCCRに惜しみない愛情を注いでいますし、実際この2バンドの方が音楽性にしても、そのメッセージにしても、僕の好みですし、すごいなって思います。
それはそれとしてMC5だってもちろんかっこいいですよ。ただ、久々に『Kick Out the Jams』を聴いてみたらMC5はもう今の僕には必要ないんだなって思って、ちょっとさみしい気持ちになりました。でも今の僕に必要ないだけで、かっこいいバンドであることには変わりません。
ところで僕が持ってる「Kick Out the Jams」のカバーはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン("
Live at the Grand Olympic Auditorium")とジェフ・バックリー("
Live at L'Olympia")のです。レイジのカバーはかっこいいと思うけど、ジェフ・バックリーのカバーは別にって感じです。音楽的にはジェフ・バックリーの方がずっとずっと好きなんですが、曲との相性ってありますしね。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの音楽はもう聴かないんだけど、久々に聴いたら、うん、かっこいい。

僕がバンドで初めて演奏した曲、それはかなりありきたりだけど、ラモーンズのデビューアルバム『
Ramones』に収録されてる、「Blitzkrieg Bop(電撃バップ)」だったりします。最初カセットテープでダビングされたこの曲を聴いたとき、なんてアホな曲なんだって思いました。だって「ヘイ、ホゥ、レッツゴゥ」ですしね。でもこれがやたら楽しかったんですよね。本当楽しかった。たぶん一人で弾き語りしたらむなしい曲ランキングでかなり上位に入るだろうと思うけど。

その後ラモーンズは僕にとって特別な音楽にはならなかったし、ジョーイ・ラモーンは亡くなってしまった、もうずっと楽器は弾いてないし、そのときいっしょに演った友達とはずっと会ってないどころか連絡すらとってないけれど、そのときの気持ちは覚えてます。すごくいい印象で。みんな笑顔だったな。「Blitzkrieg Bop」を特にわざわざ聴きたいとは思わないけれど、聴けば「仕方ないなあ、もう」(失礼な話ですが)とか思いながらもやっぱり微笑んでしまいます。
ラモーンズはもう伝説のバンドとしてとらえられてるところがあると思うけど、どこがいいのかわからないって人もけっこういるんじゃないでしょうか。でもこういうところもラモーンズの魅力の一つなんじゃないかなって思ってます。そんなこともあって僕もラモーンズ好きです。聴かないけど。
「グラミー賞の受賞式典で、スライ&ザ・ファミリー・ストーンが再結成パフォーマンスを行う計画が進行中であると、海外メディアが報じている」こんな記事が
bounce.comに載ってました。まだ確定ではなく、いわゆる噂ってやつですね。気にはなるし、ちょっと期待や不安、思うことはあるけど、噂だしね。

グラミー賞って僕は特に興味がなくて、最近ではプリンスがビヨンセといっしょにパフォーマンスしたのを配信として見たくらいです。ちょっと楽しかったかな(「Crazy in Love」わりと好きです)。今月リリースされるSlyのトリビュートアルバム『
Different Strokes by Different Folks』がけっこう力入ってそうなので、あってもおかしくないかも。このトリビュートけっこうすごいですね。気になるトラックはあるけど、僕は今のところ購入予定はないです。トリビュート、カバーって好きだけど、これは僕には企画色が強すぎるかな。面白そうではあるんですけど。
僕が今、ボブ・ディランのオリジナルアルバムで日常的に聴くのって、『
Planet Waves』と『
Before The flood(偉大なる復活)』ぐらいだったりします(ブートレグシリーズは毎回買って聴いてる)。共通点といえばどちらも70年代、そしてザ・バンドといっしょに演ってるってことですね。「もしかしてディランが好きなんじゃなくて、ザ・バンドが好きなだけじゃないの?」っていう問いには「そりゃあザ・バンドの方が好きだけど、ボブ・ディランだって大好きだよ」と答えることでしょう。

『Planet Waves』は、名曲「Foever Young」が収録されてるってのもあるし、ザ・バンド好きっていうのもあると思うけど、なんかちょっといい雰囲気で楽しいんですよね。僕はお風呂で音楽を聴いたりもするんだけど、ボブ・ディランのアルバムでお風呂で聴こうって思うのって、このアルバムと『Before The Flood』だけです。いくら好きでも『
血の轍』や『
欲望』(この2枚は一時期聴きまっくていた)をお風呂で聴こうとは思いません。それは善し悪しではなく、性質の違いです、たぶん。

といっても『Planet Waves』を熱心に聴くようになったのって映画『
ラスト・ワルツ』を観てからです。この映画でボブ・ディランが出てきて「Foever Young」を演奏するシーン、すごく好きです。それまではやっぱり『血の轍』のほうがかっこいいと思ってたし、よく聴いてました。そういえばブートレグシリーズでは『
The Rolling Thunder Revue』がお気に入りですし、きっと僕は70年代のボブ・ディランが好きなのかもしれません。かっこいいし。60年代の代表曲も『Before The Flood』等のライヴアルバムで演奏される方が好きかもしれない。

ボブ・ディランて忘れそうになった頃になぜか新たな発見とともに迫ってくるんですよね。ザ・バンドとの関りでもそうですし、例えばサム・クックにのめりこんでたときに、「Blowin' In The Wind」が今までと違った意味を持って、その素晴らしさを気づかせてくれるとかそういう感じで。21世紀になってリリースされ続けてるブートレグシリーズもそうですね。すごい人です。何年後かには90年代のボブ・ディランが最高だとか言ってるかもしれません。
そういえば僕は90年代のボブ・ディランのライヴを一度国際フォーラムで観てるんですけど、何やってるかよくわからなかったです。「All Along The Watchtower」はかっこよかったかな。まだ10代だったような気がするし、こんなもんでしょうか。