キャロル・キングは大ヒットアルバム『つづれおり(Tapestry)』で有名なシンガー・ソングライターで、僕も高校生ぐらいのときそのアルバムを聴いたけど、そのときはあまりいいとは思わなかった。悪くないけどってぐらい。 その評価が一変するのは、ダニー・ハザウェイの「You've got a friend」とアレサ・フランクリンの「You make me feel like a natural woman」を聴いてから。どちらもキャロル・キングの曲で、『つづれおり』に入ってるんだけど、僕は気づかずに感動して、ソングライターの名前を調べたらキャロル・キングだったというわけ。そして『つづれおり』を聴き返してやっとキャロル・キングとこのアルバムの素晴らしさが理解できた。でも、まだこのときはものすごいソングライターということで好きになっただけ。きっかけとなった両曲もダニー・ハザウェイとアレサ・フランクリンのカバーのほうがずっと良かったし。
シンガー・ソングライターとしてキャロル・キングの音楽を本当に好きになったのは、それからしばらくたって、ベストアルバムに入っていた「Some kind of Wonderful」を聴いたとき (オリジナルアルバムでは『Music』に収録)。 「Some kind of Wonderful」はキャロル・キングが職業ライター時代にドリフターズ(日本の伝説的お笑いグループではなく、ベン・E・キングも在籍していたアメリカのコーラスグループ)に提供した曲のセルフカバーなんだけど、もうこの曲にいっぺんで魅せられてしまった。それまでは何かしながらBGM的に聞いてたのに、この曲が流れている時間ははっと手を止めて聴きいってしまったほど。 それはシンプルで穏やかなラヴソングなんだけど、僕の心をぐっと、ぐっと掴んでしまった。実はこの曲マーヴィン・ゲイもカバーしててそっちを先に聴いてたんだけど、そのときはさほどぐっとこなかったのに。ドリフターズやマーヴィンゲイのヴァージョンは軽快なポップソングのアレンジで、それはそれで悪くないんだけど、このキャロル・キング自身で穏やかに優しく紡がれる「Some kind of Wonderful」は本当に、本当に素晴らしい。そうすると不思議なものでシンガー・ソングライターとしてのキャロル・キングの他の曲も素晴らしく感じるようになっていく。今まできちんと聴いてなかったんだなって。
お風呂で音楽を聴くのも好きです。個人的な、お風呂で聴くのに最適なアルバムは、いろいろありますが、断言してしまいましょう、それはBob Marley & the Wailersの『Kaya』です。
Jack Johnsonのアルバムなど他にもいいのがありますが、お風呂で『Kaya』にかなうものはありません。ジャケットのボブ・マーリーの笑顔、その通りのムードがこのアルバムには満ちています。アイランド時代のアルバムでボブ・マーリーが笑顔なのはこのアルバムだけです。1曲目の「Easy Skanking」からもうハッピーでリラックスです。Take it easyです。最高のコーラスワークです。「Kaya」でゆらゆら揺れましょう。そして「Is This Love」にひたりましょう、「Satisfy My Soul」が始まれば魂が満たされてゆきます。最高です。I Threesのコーラスにあわせていっしょに歌いたくなっちゃいます(家族がいる人はおかしくなったと思われるので止めましょう)。
あ、アルバム『Jacksonville City Nights』はこんな秋の日にぴったりな、なかなかの良作です。カントリー色が強く、ちょっと聞くと地味ですけど、微妙に力抜けた感じが飽きないし、いいですよ。国内版のボーナストラックに入っているカントリー界の大御所ウィリー・ネルソンのカバー「Always on My Mind」もかなりいいです。カントリーってっ聞いただけで敬遠しちゃう人も多いと思うけど、カントリーはアメリカのルーツミュージックの一つで、たくさんのアーティストが影響受けてるんです。U2のボノだってウィリー・ネルソンのことは尊敬してるそうですし。『Stardust』なんか素晴らしい名盤です。おすすめです。
今年1枚目の『Cold Roses』は2枚組でそれはそれは素晴らしいアルバムでした。それはもう満足しました。ですから2枚目の『Jacksonville City Nights』が出たときですら驚いたのです。前2作はRyan Adams & the Cardinals名義でしたが、3枚目の『29』はソロ名義だそうです。とにかく楽しみです。
The BandのCD5枚組+DVD、豪華ブックレット付きのボックスセット『A Musical History』がAmazonさんで値段が下がってたので買っちゃいました。欲しいけど、アルバムは全部持ってるから収録曲のほとんどはダブるし、他にもいろいろ持ってるし、未発表曲とDVDは気になるけど、高いし、未発表曲ってそんなたいしたもんじゃないだろうし、どうしようかなあ、でも欲しい、買っちゃえ! って感じで(このボックスセットを買った人はたいていこんなこと考えてそうですね)。
『Uncle Charlie & His Dog Teddy』は名曲「Mr Bojangles」が入ってることで有名な(Mr Bojanglesが有名なだけかもしれませんが)Nitty Gritty Dirt Bandのアルバムです。ジャンルでいえばカントリー、ブルーグラスでしょうか。「Mr Bojangles」はちょっと前日産のCMで使われていたのでおなじみですね。
「Mr Bojangles」にはたくさんのカバーがあります。オリジナルはJerry Jeff Walker。個人的に親しんでるのは Nina Simoneさんのカバー。Nitty Gritty Dirt Bandのようなほのぼのさはありませんが、じいんときます。
Nina Simoneはムードが合うと、とんでもなく、異常にいい、シンガーです。普段でもいいんですが、なんというか感覚的にピタッとくるときがあって、そういうときは本当に引き込まれてしまうようになるのです。聞いているうちにNina Simoneムードになっちゃうこともありますが。最初に聞くなら親しみやすい『Here Comes the Sun』なんかがおすすめです。Mr Bojanglesも入ってるし、タイトル曲はビートルズ(ジョージ・ハリスン)ですし。ベストもたくさん出てるからそれもいいですね。気に入れば素晴らしい世界が待っています。
【2006年9月22日に選ぶ15曲】 "What a Wonderful World" Sam Cooke "Little Red Corvette" Prince "Tired of Being Alone" Al Green "Baby We've Got A Date" Bob Marley & The Wailers "Something" The Beatles "Some Kind of Wonderful" Carole King "She" Gram Parsons "Everybody Hurts" R.E.M. "Stay (Faraway, So Close!)" U2 "Stay Human (All The Freaky People)" Michael Franti & Spearhead "Golden Lady" Stevie Wonder "Ain't No Mountain High Enough" Marvin Gaye & Tammi Terrel "Move On Up" Curtis Mayfield "I Shall Be Released" The Band "A Change Is Gonna Come" Sam Cooke
ふらっとレンタルしてみた『きょうのできごと a day on the planet』(監督:行定勲 出演: 田中麗奈, 妻夫木聡, 他 )を見る。で、思ったのは「女の子に髪を切ってもらう」っていいなってこと。この映画では「友達の彼女に切ってもらう」ってシチュエーションなんだけど、これいいですね(田中麗奈さんかわいいし)。
「Starfish and Coffee」はプリンスのアルバム『Sign 'O' the Times』の中の一曲です。とても素敵でキュートなあたたかみのある曲なんだけど、プリンスの最高傑作と呼ばれる、名曲ばっかり、テンション最高潮なアルバムの中ではちょっと地味に聞こえるかもしれません。実際はじめて聞いた時の印象はそんな強いものではなく、ちょっといい曲だなあって感じでした。