2007年、ほぼ完全に近い形で放置してしまいましたが、音楽を聴かなかったというわけではもちろんありません。むしろ素晴らしいリリースが相次いで例年になく新譜を買った年でした。
そんなわけで、せっかくだから僕の個人的なアルバム・オブ・ザ・イヤー2007年版をひっそりと発表しておきましょう。
Wilcoの『
Sky Blue Sky』に決定です。

理由、それはやっぱり個人的に選ぶからには、フィーリング、これが最も大事です。アルバム全体のイメージとしては、『
Sky Blue Sky』というのどかなタイトルよりもアルバムジャケットのイメージの方がしっくりくる感じ。真っ白な空をたった一羽で飛ぶ鳥のようなWilcoの新しい世界、惹かれるものがあるのです。
実はこのアルバムの何もかもを完璧に愛しきっているかというと、そうでもないんですよね。演奏面では弾きすぎだなって感じることもあるし、正直もう一歩盛り上がりに欠けるようなところもあります(これはあえてなんだろうけれど)。ただ、全体として捉えてみると、やっぱり特別なアルバムなのです。この先どうかはまだわからないけれど、少なくとも2007年という一年の中で最も僕に対して影響力があり、印象に残ったアルバムだということは間違いがないでしょう。
突然ですが、僕個人の2006年ベストアルバム、Album of the year を発表しときましょう。ちなみに2005年はライアン・アダムズの『
Cold Roses』でした。
2006年にリリースされたアルバムを僕は多分だいたい10数枚買ってます(リイシューやコンピレーションを除いて)。その10数枚を全てリストアップするべきでしょうが、面倒なのですっとばして結論。

アーニー・ディフランコの『
Reprieve』に決定。
理由は、これが最も僕の心を揺り動かしたアルバムだから。
reprieve という言葉には「猶予期間」とか「一時的な救済」といった意味があるんだけど、そんなタイトルがしっくりと来るようなアルバムです。
このアルバムから感じる、ぎりぎりに研ぎ澄まされた穏やかさ、みたいなものかな、そういうのが僕をどうしようもなく惹きつけます。素晴らしいアルバムです。
うっかり『
The Capitol Albums Vol.2』を購入してしまいました。
話題になってる『
Love』を買わずにこれを買ってしまったのには深い理由は何もなく、ただAmazonで安くなってた(4180円)からです。

一応説明すると、『The Capitol Albums』っていうのは、ビートルズのアメリカ編集盤を再現しようというシリーズです。そもそも一般の人にはどうでもいい代物の上、さらにVol.2では『Rubber Soul』に間違ったミックスを入れちゃって問題(話題)になりましたよね。
エラー盤だったら嫌だなあ、とは思ったけれど、四千円ならリマスター盤1枚千円、うさんくさいのもらしくていいや、と思えばOKかな、と勢いで注文しちゃったんです。
こういう買い物をすると複雑な気持ちになったりもするんだけど、結局のところ満足してます。
うん、意外と面白いんです。音楽そのものは素晴らしいに決まってるので特に言うことはないけど、ささやかな変化が新鮮で楽しいです。このキャピトル盤のオリジナルになる正規盤アルバム(ややこしい)はしばらく聴いてないのに、身体に染みついているみたい。やはりビートルズは偉大です。それと、音が気に入りました。後は、キャピトルのマークが付いてるとすこしクールな気がします(錯覚ですが)。
そもそもマニア向けの商品でしょうけど(僕はマニアではありません)、この値段なら、ビートルズのアルバムはベスト盤とレットイットビーとアビイロードしか持ってないような人にもちょうどいいんじゃないでしょうか。どっちだってビートルズです。僕が初めて買ったビートルズのアルバムは、スーパーのワゴンに入ってたうさんくさい3枚組ベスト盤です。それだって、とんでもなく素晴らしいものでした。
ちなみに『
The Capitol Albums Vol.2』を買ったもう一つの理由は、商品説明の「あなたがライアン・アダムスでないかぎり、同じ曲でも使い回さなければ、1年に4枚ものアルバムをリリースする習慣はないだろう」がすごく気に入ったから。
今日、11月12日はニール・ヤングの誕生日です。
1945年生まれなので61歳ですか。年齢は…、書いても問題ないですね。
誕生日ネタはやる気のない時に無理やり話題を作るのにぴったりです。今日はいまいちやる気がないのでお茶を濁しにかかりましょう。

ニール・ヤングといえば、もうすぐライヴ盤『
Live at the Fillmore East』がリリースされますね。これは新録じゃなくて、"ARCHIVES"シリーズ という過去音源発掘プロジェクトみたいなものかな、それの第一弾として、1970年のフィルモア・イーストでの伝説のライヴをリリースするというわけです。
ジャケットを見ると、看板にMILES DAVISの名が。なるほど、これが噂のマイルス・デイヴィスが前座だったというフィルモア・イーストのライヴなわけですね。ま、それはいいとして(このアルバムでマイルスが聴けるわけじゃないですから)、注目はクレイジー・ホースの初期ギタリスト ダニー・ウィッテン在籍時のパフォーマンスだということです。
ダニー・ウィッテン (Danny Whitten) は存命中の活躍、そして1972年のドラッグのオーバードーズによる死がニール・ヤングの創作にも影響を与えたことでも知られています。『
Tonight's the Night』(1975) の制作動機にもなってます。僕はそれほどに思い入れはないんだけれど、聞けば「そうか!」と思う人物です。『
Tonight's the Night』にはこのフィルモア・イーストのライヴから1曲収録されているということもあって、期待を煽るというわけです。

まとめると、"ARCHIVES"シリーズ第一弾にふさわしい、すごいパフォーマンスなんだろう(推測)ということです。このライヴではエレクトリック・セットとアコースティック・セットをやったそうですが、収録はエレクトリック・セットのみ。しかも1曲("Cinnamon Girl")カットして全6曲となかなかの小出しぶりです。
6曲だと、きっとくそ長いギター・プレイを延々と聴かされることになるのかな、と思う人もいるかもしれません。僕はニール・ヤングのくそ長い曲は、気分と状態によってかっこいいとしびれる時もあれば、だるい時もあり、勘弁して欲しいと思うこともあるかもしれません。ちなみにニール・ヤングの長いの基準は10分以上です。8分では長いとは言いません。
で、今はどんなもんかなあと思ってるんですが、ニール・ヤングのオフィシャルサイトでちらっと聴いた感じではやっぱりかっこいいですね。収録時間を見たら、長いのは"Down by the Rive"と"Cowgirl in the Sand"だけで、あとは普通で全40分ぐらいみたいです。だったらなぜ"Cinnamon Girl"を収録しないんだろう? 気に入らなかったのかな。
こういうシリーズを出し始めると、ニール・ヤングもついにロビー・ロバートソン化したのか、と思うかもしれません。でも、今年も意欲的な新譜『
Living with War』をリリースしてますし、大丈夫です。ニール・ヤングはまだまだ現役です。1970年も2006年もとがってます。どうせなら本人が生きてるときにやって欲しいという思いもありますし(縁起でも無いけど)、何といっても聴きたいので歓迎です。
『
Live at the Fillmore East』にはCDのみのと、
DVD-Audio付き2枚組の2種類あるようですよ。DVD-Audioはこだわりの音質と貴重な写真が売りみたいです。ライヴ映像では無いみたいなので注意しましょう。オフィシャルで大々的に宣伝してるし、本人が関っているようだから大丈夫だとは思うけれど、どうなんでしょうね。国内盤(『
ライヴ・アット・ザ・フィルモア・イースト』)はCDのみですね。
ところで、すごいどうでもいい話ですが、このブログが始まって今日で一年です。続くものですね。ニール・ヤングの誕生日といっしょだったとは奇遇です。と、無理やり誕生日で締めてみました。
『
What's Going On: All Star Tribute』は、2001年の9月5日から7日にかけて、U2のボノが中心になってアフリカのエイズ予防と治療のためのチャリティーとして録音されたものです。録音後すぐ、911、同時多発テロが起きたため、その犠牲者の家族を支援するためのチャリティーが加えられました。
オリジナルはマーヴィン・ゲイの"What's Going On"。参加ミュージシャンは表ジャケットにクレジットされているだけで31名。演奏、別ミックスに関った人間はもっとです。MOBY、ジ・エッジ(U2)、クエストラヴ(ザ・ルーツ)、ブライアン・イーノ、ワイクリフ・ジーン、ネプチューンズ、等々、すごい面子が関っています。

チャリティーとしての意義は置いといて、純粋に音源としての評価です。ボノが関った仕事の中で最低だと思います。
R&B/Hip-Hop界のプロデューサー、ジャーメイン・デュプリが手がけたトラックはいいものです。クエストラヴのドラムも文句無しです。だけど、たくさんのシンガー(ラッパー)のヴォーカルのせいで全て台無しです。映像なら、たくさんの人気ミュージシャンが出てきたら楽しいとは思いますが、音源というか曲として聴くなら、焦点が定まらず最低です。わざわざパート分けしてみんなで歌うのは、チャリティー盤としての宣伝、つまりたくさんお金を集めるためだけです。音楽的な意味は全くありません。いくらチャリティーといえども、世に音源としてリリースするなら、何かしら音楽的な意味があるべきだと思います。
ボノは過去にこういうカヴァーをルー・リードの"Perfect Day"でもやってます。あれも音楽的には最低だと思いましたが、作曲者のルー・リード自身が喜んでいたのと、隠れ名曲に注目を集めるという意味でまだ救いがありました。
じゃあパート分けじゃなくて、合唱にすればいいのか? これも最低だと思います。合唱自体は嫌いじゃありませんが、合唱には合唱のためのシンガーが必要ですよね。それぞれの声を識別されなくてはならないシンガーたちでやってもろくなことにはならないですよ。
唯一例外的に好きなのは、ザ・バンドの『
ラスト・ワルツ』での参加ミュージシャン勢ぞろいの"I Shall Be Released"ぐらいです。これはザ・バンドという核と、コンサートとしての構成があるから素晴らしいんだと思います。リチャード・マニュエルとリック・ダンコの方が好きですが、これはこれで良いです。
『
What's Going On: All Star Tribute』は音楽的には何の意味もない、単なるチャリティーのためのお金集めの道具なのか? と言ったらそんなこともない、と思います。そういう側面が強いのは確かですが、それだけではないですね。
メインとなるDUPRI ORIGINAL MIXではジャーメイン・デュプリは"What's Going On"の違った魅力を引き出すべくいい仕事をしています。「what's going on」で締めるアレンジはかなり素敵です。きちんとしたシンガーでカヴァーすればかなりいいカヴァーになったと思います。
それに「このシンガーは誰?クイズ」にも利用できます。ブックレットに解答が書いてあるので答え合わせも万全です。
他のミックスにもなかなか面白いものがあります。THE LONDON VERSIONはブライアン・イーノがプロデュース。ギターとベース、バック・ヴォーカルにジ・エッジ。歌うのはボノとクリス・マーティン(コールド・プレイ)と、U2色が強いです。デュエットととしての面白みはありませんが、ヴァイオリンがいい感じで響いてなかなか良いです。U2の『
Achtung Baby』や『
Pop』のシングルB-sideみたいで楽しめると思いますよ。
後はネプチューンズのミックスが真当に良いです。名前が出ている人気シンガーよりも、現代のトップ・プロデューサーが料理する"What's Going On"という意味の方が楽しめるんじゃないでしょうか。
オリジナルの冒涜という風には感じません。マーヴィン・ゲイの『
What's Going on』はこれぐらいではびくともしないでしょう。思ったのは「いったい何をやっているんだい、ボノ?」ですね。一応断っておくと、これはボノ個人のプロジェクトであって、U2とは関りありません。ボノはこういうのけっこう分けるんですよね。
ちなみにメイキングのDVD『
メイキング・オブ・ホワッツ・ゴーイン・オン』というのもリリースされています。僕は持ってないし、ちっとも欲しくないですが、映像で観た方が楽しいかもしれませんね。
ここまで書いてきたことでわかる通り、僕は"We Are the World"も「サライ」も大嫌いです。逆にそういうのが好きな人は純粋に楽しめるかもしれません。
アーロン・ネヴィルのソロ・アルバムを今一枚だけ買うとするなら、最新作の『
Bring It on Home... The Soul Classics』がいいとは思うけど、それを除くなら、『
Warm Your Heart』(1991) がいいと思う。何故かっていうと、ランディ・ニューマンの素晴らしいカヴァー"Louisiana 1927"が収録されているからです。

アーロン・ネヴィルはソロとして1966年に"Tell It Like It Is"で大ヒットを飛ばした後いまいちぱっとせず、ミーターズをやっていた他のネヴィル兄弟と合流して、ネヴィル・ブラザーズ結成という流れを歩みます。
そのネヴィル・ブラザーズでのダニエル・ラノワをプロデューサーに迎えたアルバム『
Yellow Moon』(1989) と、リンダ・ロンシュタットとのデュエットの成功を受けて、再びアーロンがソロとしてリリースしたアルバムが『
Warm Your Heart』です。

その新しい出発の1曲目に歌われるのが"Louisiana 1927"。1927年のミシシッピ大洪水について歌った曲です。オリジナルはランディ・ニューマンの『
Good Old Boys』(1974) から。
とても美しい曲なんですが、歌詞の内容はけっこう悲惨です。ミシシッピ大洪水は天災である面と、その後の政府の対応のまずさから人災である面があるそうなんですが、その両面をしっかり込めちゃったんですね。さらに、歌詞の中に当時の大統領の差別発言まで突っ込むんだから、シンガー・ソングライターとしてのランディ・ニューマンがもう一歩ポピュラリティを獲得できず、映画音楽家として成功してしまう理由がわかるものです(褒めてます)。

だけど、曲はやたら美しく、どこか優しさまで感じるほどです。そして、この曲は想いを込めてコーラスの「ルイジアナ」を歌うことで素晴らしい曲になるんです。ミシシッピ大洪水の被害はルイジアナだけに留まりません。でも、アーカンソー1927やミシシッピ1927ではきっとダメなんです。ニューオーリンズ生まれのランディ・ニューマンは「ルイジアナ」と歌いたかったんじゃないでしょうか。描写しただけではなく、個人的な想いが詰まっているからこそ、名曲なんだと思います。もちろん、純粋にランディ・ニューマンのソング・ライティングの才能がすごいってことも重要ですけど。
2005年、ランディ・ニューマンは「ハリケーン・カトリーナ」被災者のためのベネフィット・アルバム『
Our New Orleans: A Benefit Album for the Gulf Coast』のために"Louisiana 1927"を再録します。あまりにもぴったりすぎる選曲です。これがまた感動的なんですよ。いろんな意味を持つ曲ですが、このアルバムでは再生のための曲として響いたんじゃないかと思います。それでいいと思うし、そうじゃない意味でとってもいいと思います。
ええと、アーロン・ネヴィルのソロ・アルバムのことを書くつもりが、ランディー・ニューマンのことになってしまいましたね。うん、でも、アーロン・ネヴィルはこの曲を歌うのにぴったりなシンガーで、実際素晴らしい出来だってことは何となくわかったりしません? アーロン・ネヴィルはニューオーリンズで生まれ育った(実際にも音楽的にも)ミュージシャンで、その想いは半端ではありません。一応説明すると、ニューオーリンズはルイジアナ州にある都市なわけです。

"Louisiana 1927"はベストアルバム『
The Very Best of Aaron Neville』にも収録されてるので、どれでもいいからちょっと聴いてみて欲しいなあ。アーロン・ネヴィルを聴いたこと無いならこのベスト盤の方がいいかもしれません。ちょっと収まりが悪いところはあるけど、"Tell It Like It Is"や、ネヴィル・ブラザーズでの"A Change Is Gonna Come"の名演も収録されているし。
国内盤なら"Ave Maria"付きです。ただし"Ave Maria"から始まる曲順はあほだと思うけれど。でも、元はプレリュードだからいいのかな。まあ、ラストの方がしっくり来るのは確かです。『
Warm Your Heart』ではラストです。

U2とグリーン・デイの共演ライヴ映像を見ました。9月25日に、ニューオーリンズのルイジアナ・スーパードーム改修後初となるNFLの試合で行ったライヴで、ちょっと話題になってるんです。現在
Music Rising で見ることが出来ますよ。
このライヴ映像、思った以上に、ものすごく良かったです。コラボ曲の"The Saints Are Coming"を僕は気に入ってなかったし、そもそもU2とグリーン・デイの共演って相性がどうなんだろうって思ってたんだけど、結果としてグリーン・デイが良かったです。特に"The Saints Are Coming"の前に演奏されたグリーン・デイとジ・エッジが共演した"Wake Me Up When September Ends"が素晴らしかった。
実はグリーン・デイの映像見たの、ものすごく久しぶりだったんです。写真も多分見てない。もしかしたら、何年か前にさいたまスーパーアリーナで実物を見て以来です。アルバム『
American Idiot』(2004) をリリースしたことは知ってたんだけど、ちょうど興味を失ってた時期だったので、特にチェックせずにスルーしてたんです。

久々に見て思いました、「誰?」、と。
いや、U2とグリーン・デイの映像なわけだし、それに声を出せばビリー・ジョー・アームストロング(vo, g)だとわかります。でもね、前見た時はまだやんちゃな兄ちゃんの香りを十分に残してたのに、いきなりシリアス耽美系黒髪シンガーになってるんですよ、びっくりしますよ。
「しばらく見ないにうちにまあ、かっこよくなっちゃって」と、親戚のおばちゃんみたいな気持ちになっちゃいました。黙ってれば、ライアン・アダムズです、とか、ロバート・スミスです(これは無理か)、と紹介しても日本人の99%ぐらいは信じるんじゃないかなあ(もちろん似てないけど)。
ベースのマイク・ダーントは相変わらずクラッシュのアルバムジャケットに登場できそうなパンクス・スタイル(姿勢と弾き方が)だったり、ドラムスのトレ・クールは相変わらず大口をあけてたりするんだけど、ビリー・ジョーの(外見の)変貌は驚きです。
ま、本当は外見はどうでもいいんです。重要なのは音楽です。そこで演奏されたグリーン・デイのオリジナル曲 "Wake Me Up When September Ends" が本当に素晴らしくて、今こんな音楽やってるんだ、と驚いたのです。

僕は『
Dookie』(1994) でグリーン・デイが大ブレイクした時にちょうどキッズ(小さい子供じゃなくて、10代の若者ぐらいの意味)だった年齢です。10年も経てばいろいろと変わります。
『
Warning』(2000) の頃までは、(年下の子に誘われてだけど)ライヴも行ってました。僕はビリー・ジョーの声と歌は好きだし、実際すごく楽しいライヴだったんですが、同時にスリーピース・バンドの限界も少し感じちゃってたわけです。さらに年月が経てば「もうグリーン・デイでもないよなあ」と思ってしまうのも無理ないです。

そんな状況で見たこのライヴ、がつん、と揺さぶられました。その成長した彼らの音楽を、純粋にかっこいいと思います。いい風に変わったなと思うし、同時に変わってないところも、いいなあ、と。たった1曲で『
American Idiot』を聴こうと思わせるに十分なパフォーマンスです。それほどのものでした。"Saints"のイントロのヴォーカルはちょっとやばそうだったけど、そんな時もありますよ。
今はこの方が絶対かっこいい、とグリーン・デイを再び好きになりました。ファーストが最高な伝説のミュージシャンより、年齢や経験でどんどん成長し変わっていくミュージシャンの方が僕はずっと好きです。
ボノが登場してデュエットする"The Saints Are Coming"はライヴだとさすがに盛り上がってましたが、やっぱり僕はいまいちかな。だけど、その後に続くU2の"Beautiful Day"はさすがにすごかった。こういう場ではやっぱりみんな知ってる曲の方がいいんじゃないの、と思ったりです(チャリティ曲のお披露目という目的もあるんだろうけど)。
シングル「
The Saints Are Coming」に収録されるライヴテイクが"Wake Me Up When September Ends"も含んでたらぜひ欲しいなあ。

再結成ダイナソーJr.がなぜ盛り上がっているのか? わかる人はすんなりと、わからない人はさっぱりわからないですよね。それは、アルバム『
Bug』(1988) の時のメンバーだから、つまりルー・バーロウがいるからです。
ダイナソーJr.のサードアルバム、そして彼らのインディー時代の最後のアルバムでもある『
Bug』は、音楽的にも時代的(?)にもすごいアルバムです。結果的に時代のさきがけになり、すごい影響力を持ってます。例えば、有名な1曲目"Freak Scene"なんて、確かにいい曲なんだけど、個人の才能だけじゃ生み出せない何かをまとっちゃってるんです。そして、このアルバムはニルヴァーナの大ブレイクの土壌を作った一つの要因だと言われています。
もう一つ重要なのは、ニルヴァーナにはまった人がその後さかのぼって聴くアルバムでもあること。88年発表でありながら、90年代の名盤と言ってもいいぐらいです。実際僕は十代の頃、めちゃくちゃに聴きました。そしてその頃には『Bug』を作ったダイナソーは無く、J・マスキスの一人ユニットとしてのダイナソーしかないわけなんですよね。それはそれでヒットしたし、僕も大好きだったけど、やっぱりそれまでとは違うんです。
J・マスキスとルー・バーロウ、その後の二人の活躍を見ると、二人は別れるべき才能です。才能のスケールは違いますが、ニール・ヤングとスティーヴン・スティルス、ルー・リードとジョン・ケイル、ボブ・マーリーとピーター・トッシュ、レノン/マッカートニーとジョージ・ハリスン、みたいなものです。質が違うし、同居するには妥協が必要な関係です。

ルー・バーロウはダイナソーでは自分の資質が生かせないから、もっと別のことはやりたいから脱退して、その後自分の道で成功しているわけです。本来なら、またダイナソーでベースを弾く必要なんてないと思うんです。
しかし、もしルー・バーロウ無しで再結成しても、それは今のJ・マスキスのソロとおんなじです。ルー・バーロウが参加して『
Bug』の頃までの曲をやることによって、初めて伝説のバンドが再臨すことになるのです。しかも二人ともその後も活躍してるわけですから、盛り上がります。それに、当時すでに今でも古びてない音楽をやっていたということでしょう。
個人的には「まぁた、後ろ向きなことを」ぐらいで、正直懐が苦しいのかなあ、ぐらいに思いましたが、楽しんでファンの温かな気持ちと熱狂を受けて、やる気が高まったんならいいんじゃないでしょうか。それに余裕が出来るというのは大事なことです。

そういえば、僕は以前うっかり『
The BBC Sessions』という発掘音源ぽいのをを買ってしまいました。『Bug』の頃までのメンバーのライヴテイクが聴きたいという理由で。はっきり言って、そんなたいしたもんじゃなかったです。それでも、ここに収録されている曲には、言葉に尽くせないような気持ちを感じてしまうようなところがあるのです。
まとめると、今ダイナソーを聴きたいかというと全然そんなことはないんだけど、盛り上がるのはわかるなあ、というところです。マニアな人は一人忘れていると思うかもしれないけど(マーフさん)、そんなものです。ああ、でも再結成には感傷度が大切なので重要な人物です。